スマホが車の鍵になる!? 「ホンダe」から始まるスマホとクルマの新しい関係性とは
かつてクルマの動かすためには、鍵をハンドル付近にある鍵穴に挿して回すことで、エンジンを始動させていました。しかし、2020年にはスマホをかざすだけでエンジン始動が可能なクルマが登場するといいます。その第一号とされるホンダの電気自動車「ホンダe」に採用された技術とは、どのようなものなのでしょうか。
スマホが鍵になる!? 防犯上の問題はないのか
2019年夏頃にホンダから発売が予定されている電気自動車「ホンダe」には、先進的で興味深いアイテムが搭載されます。
それは、従来のスマートキーや鍵本体を持っていなくても、スマホさえあればロックを解除して乗り込め、システム起動(エンジン車でいうエンジン始動)までおこなえるという代物です。そこにはどんなメリットと背景があるのでしょうか。
クルマの鍵は、進化しているアイテムのひとつです。ひと昔前は、鍵本体をクルマのドアノブ付近にある鍵穴に差し込んで解錠し、ハンドルの根本部分にある鍵穴に差し込んで回すことで、エンジンを始動していました。
その後、鍵の持ち手部分に解錠・施錠のボタンが付いたタイプが主流となり、クルマに乗り込むまでの時間が短縮。さらには、現在もっとも採用されている鍵の本体(金属の棒部分)がなく、ボタンだけ(俗にスマートキー)になったものに移り変わっています。
そんななか、前述のホンダeでは「スマホを鍵にする」仕組みが採用されるといいます。
使われている技術はNFCと呼ばれる近距離無線通信規格です。NFCとは聞きなれないシステムかもしれませんが、JR東日本の「Suica」やJR東日本の「ICOCA」、関東私鉄の「PASMO」をはじめとする全国の交通系電子マネーに使われているほか、(NFCの派生技術によるFeliCaを活用した)「おサイフケータイ」などスマホ決済サービスなどで使うためにスマホにも組み込まれています。
NFCは改札機の通過時やレジでスマホ決済する際のように、タッチして情報のやり取りをするツールと考えていいでしょう。
ホンダeのBピラーにはそんなNFCのアンテナが組み込まれていて、スマホを近づけるとワイヤレス通信がおこなわれドアロックが解除されます。そして、乗り込んだ後にはダッシュボードの指定位置にスマホをかざすことで、システムを起動できる仕掛けになっています。
ホンダe試作車の日本仕様がはじめて公開されたのは2019年夏でしたが、じつはこの仕掛けについてホンダは当初「日本仕様に搭載できるかは不明」と説明していました。
なぜなら、技術的には成立し欧州仕様には採用が決まっていたものの、その時点では日本国内では法的に認可されていなかったからです。
そんななか、国土交通省自動車局技術政策課は2019年10月15日に「現行は、専用の鍵でのみ施錠・解錠が認められているが、一定のセキュリティ対策がなされていることを確認したうえで、スマートフォンなどを自動車の鍵として利用することにより、運転することができる機能を認めることとする」という「保安基準等の改正」を公布し、同日から施行しました。
スマホをクルマの鍵として使うことが正式に認可されました。それを受けて、ホンダeの日本仕様にも正式に採用されることとなったのです。
確かに、これまでもカーシェアリングなどではスマホや会員カードをキーの代わりとしてドアロックを解除する機能が多く使われ、スマホからの遠隔操作でドアロック解除ができる車両も存在しました。
その従来と新基準との違いについて、国土交通省は次のように話します。
「新しい基準で大きく異なるのは、セキュリティ対策さえきちんとおこなえばエンジン始動(システムのオンオフ)まではスマホでおこなえることです。
従来もドアロック解除は可能でしたが、イモビライザーの解除やエンジン始動はスマホでは許されていませんでした」
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