日本にも欲しい! 日産の高級セダン「マキシマ」とはどんなモデル?
アメリカならではのV型エンジンを搭載したマキシマの魅力とは
パワートレインは、3リッターV型6気筒(V6)で、304馬力を6400回転で発生。エンジンの型式がVQ35DEので日本の「エルグランド」に搭載されているものと型式上は同じですが、エルグランド用の280馬力に対して高出力化され、さらには2015年のマキシマのデビューに合わせて構成部品の約6割を新設計としたバージョンに進化しているのがポイントです。
驚いたのは、官能性でした。日産の直列6気筒といえばかつては直列のRB系、最近はVQ37HRなどで躍動的なフィーリングに定評がありますが、マキシマのVQ35DEエンジンもそれらに負けず劣らず音や拭け上がりの爽快感がダイナミック、かつ中回転域で伝わってくる鼓動が心地よく、運転していて気分が高揚してきます。もちろん、高回転まで気持ちよく吹け上がるのはいうまでもありません。

ちなみに北米の日産セダンのラインナップにはひとつ下のポジションに「アルティマ」が存在し、車体は基本設計を共用しているのでこのマキシマとほぼ同じサイズ。しかし、マキシマが6気筒エンジンを搭載するのに対してアルティマは4気筒と差をつけています。
アメリカのドライバーは信号が赤から青になったときに、日本と比べてアクセルを踏み込み気味でグングン車速を上げます。
また、フリーウェイに合流するときにもしっかりと加速します。だから低回転トルクの太い大排気量V6エンジンの特性が求められるのですが、加速時に軽快な音を響かせるマキシマのエンジンはそんなシーンでスポーティな雰囲気を味わえる味付けでした。
一方で、ハンドリングは日本で好まれるようなシャープなフィールではなく、ゆったりとしたフィーリングでした。
クルーズコントロールをセットしてフリーウェイを巡航するときは、直進性がしっかりと確保されているので、ロングドライブでもドライバーが疲労しにくく、また車体のフラット感が保たれているので同乗者も快適。そのあたりはスポーツセダンを自称していつつも、アメリカらしい味付けといえるでしょう。
そんなマキシマに触れて実感した最大の魅力は、やはりカッコいいデザインでした。現行世代(8代目)の初期モデルがデビューしたのは2015年の6月なので、もう4年以上が経過していますが、アバンギャルドで研ぎ澄まされたデザインゆえに、今でも色褪せは全く感じませんでした。
確かに、V6エンジンを積んだプレミアムセダンは、いまの日本では多くの販売台数を見込めないかもしれません。
しかし、せっかくアメリカで販売されているこのクールなセダンを、日本で買えないのはなんとももったいない気がしました。
4気筒エンジン、もしくはこの先進的なルックスにふさわしいハイブリッドシステム(次世代のe-POWERなど)を搭載して日本でも発売したら、歓迎する人は少なくないのでないでしょうか。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。



















































