桃田賢斗選手の事故車はハイエースのパクリ車!? 危険なシートベルトで死傷事故に発展か

バドミントン男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗選手が、マレーシアで事故に巻き込まれたという報道がありましたが、事故の際に乗っていたのは中国の自動車メーカーが製造したハイエースのようなパクリ車でした。死者が出る重大事故に発展しましたが、シートベルトは正しく装着していたのでしょうか。

見た目だけ3点式のシートベルトでは機能が果たせない

 この状態のシートベルトで事故時に衝撃を受けた体をしっかりと拘束できるのでしょうか。大手シートベルトメーカーの元開発担当者に写真を確認してもらいました。

安全性に問題がある「PLACER X」のシートベルト
安全性に問題がある「PLACER X」のシートベルト

「詳細はわかりませんがこのベルトでは機能が果たせません。もっとも重要な腰拘束ができず、衝突時にはまず、軽いサブマリン状態から上半身が大きく前方に頭から移動するのではないかと考えられます。

 バックルの位置も変なので、肩外れが発生してもおかしくないですね。現物を見ればもう少し正しい判断ができると思いますが、ELRのロック機能とウェビングの伸度も疑問です」

 3点式シートベルトと紹介されているものの、かなり危険なベルトであることは間違いなさそうです。

 ちなみに、事故直後の運転席の様子を写した写真では、亡くなられた運転手の肩ベルトは外れた状態になっていました。これでは拘束力はもちろんゼロに等しい状態です。

 このような状態のシートベルトですから、桃田選手が正しくベルトを着用していたとしても、衝撃から完全に体を守ることは難しかったのかもしれません。

 また、全長約6メートルのボディに18席もあるようなワンボックスでは、1列目と2列目のシート間もおそらく狭いでしょう。2点式では軽い衝撃でも顔面や頭部を前の座席の背もたれにぶつけそうですし、3点式でもいい加減なシートベルトだと同じ状態になりそうです。

 もし、桃田選手がシートベルトをしていなかったとしたら、どのような状況になっていたでしょうか。こちらも前述のシートベルトメーカーの元開発担当者に聞いてみました。

「衝突状況も不明ですし、クルマのボディ構造もわかりません。人体にどれだけのGが掛かったかも不明なので断言はできませんが、可能性としてはベルトをしていなければもっとひどい状態になったことは十分考えられます。

 一番大事なのは、車両が事故時に受けた衝突のエネルギーをどれだけ吸収出来るかです。それによって人体に掛かる衝撃をシートベルトが吸収しますが、仮にボディが硬くて(=衝突時のエネルギー吸収力が低い)短時間で人体に衝撃が発生するような状態でシートベルトをしていなければ、体がシートから跳ね上がり、頭部がかなりの勢いで天井に当たることになり、危険な状態になってしまうでしょう」

 今回の事故でお亡くなりになった運転手のご冥福と、桃田選手の一日も早い快復を祈るばかりです。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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