小型ボディに300馬力超! 新型BMW1シリーズ最強「M135i」に駆けぬける歓びはある?
BMWの流儀「駆けぬける歓び」へのコダワリは失っていない
M135i xDriveは、300馬力オーバーのエンジンに、4輪駆動システムのxDriveを組み合わせるだけあって、ドライブフィールは118iとは別格。とてもパワフルで刺激的な速さを味わうことができます。
鋭いレスポンスとスムーズな吹け上がりは、さすがはBMWのエンジンなればこそ。踏み込むと低く響くエキゾーストサウンドを聴かせながら、パンチの効いた加速を楽しませてくれます。優れたエンジン性能を引き出す8速ATも扱いやすく、ダイレクト感があり好印象です。
一方の「118i」も、低回転域から力強くトルクが立ち上がり、動力性能的には十分。3気筒なので音質はそれなりであるとはいえ、あまり安っぽくないところもBMWならでは。3気筒エンジンとして世界最高レベルの完成度のように思えます。
こちらは7速DCTとの組み合わせとなり、発進時などにはどうしても多少ひっかかり感があるのは否めないものの、煩わしさを感じるほどではありません。歯切れのよいシフトチェンジはDCTならではです。
さて、FF化されたことで、肝心のハンドリングがどうなったのかも大いに気になるところですが、新型1シリーズの特徴的なデバイスとして、「ARB(タイヤスリップ・コントロール・システム)」が挙げられます。
これは従来、エンジン制御と姿勢制御を別々におこなっていたところをひとつに統合することで、ECUで直接スリップ状況を感知し、DSC(横滑り防止装置)を経由せずに従来の約3倍の速さで直接エンジンに信号を伝達することで、FFモデルにありがちなアンダーステアを抑制する、という機能です。
とはいえ、118iに乗ると、やはり前後重量配分がフロントよりで、旋回中心が車両の中心よりもだいぶ前の方にあることをモロに感じるのは否めません。ただし、リアサスペンションの動き方を工夫するなどして、できるだけ乗り手にFFっぽさを感じさせないように努力したことはうかがえます。
その点、今回試乗したM135i xDriveでは、もと駆動方式が云々というのはどうでもよくなってしまいます。
118iではやや気になるステアリング操作に対する応答遅れもなく、俊敏な回頭性と正確なライントレース性を実現しています。
新開発の機械式トルセンLSDの効果もあり、ハンドルを切った方向にグイグイと進んでいきます。直進安定性と操縦安定性も高く、乗り心地はやや硬めながら、運転しているあいだずっと、いかにも高性能なクルマをドライブしているという感覚を味わわせてくれます。
FRではなくなったことで、過去2世代のようなわかりやすさは薄れたものの、新型1シリーズはより高い機能性を手に入れたことは明白です。もちろんFFになっても、BMWならではの「駆けぬける歓び」へのコダワリは変わりません。
今回試乗したM135i xDriveと、ベースモデルの118iの間には大きな価格差があるわけですが、実際にドライブしてもまったくの別モノであることがあらためてよくわかりました。
価格は多少高くても、高性能なハッチバックに乗りたい人にとって、M135i xDriveは大いに目を向けるべき存在といえます。
一方の118iは、他メーカーの大衆車と大差ないコストでリーズナブルにBMWを味わうことができるのが魅力です。
●車両本体価格(消費税込):630万円
●試乗車オプション込み価格:680万9000円
・全長:4355mm
・全幅:1800mm
・全高:1465mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1580kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1998cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT(DSG)
・最高出力:306馬力/5000rpm
・最大トルク:450Nm/1750-4500rpm
・燃費(WLTCモード):12.0km/L
・サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ:225/40R18
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