バブルに間に合った! 日産「シルビア」とマツダ「ロードスター」は何が凄かったのか
バブル経済絶頂期に間に合ったコンパクトFR車の日産「シルビア」とマツダ「ロードスター」は、何が凄かったのでしょうか。2台の誕生背景を振り返ってみます。
その美しいシルエットが多くの人を魅了した日産シルビア(S13型)
1980年代は、日本車の多くが後輪駆動を捨て、前輪駆動への転換を急いだ時代でした。それはコンパクトクラスだけではなく、セダンからスポーツ・スペシャリティなどにもおよびます。
ところが1980年代後半に登場した日産「シルビア(S13型)」とマツダ(ユーノス)「ロードスター(NA型)」は、性格もコンセプトもまったく異なるスポーティモデルですが、頑なにFR(フロントエンジン・リアドライブ)を貫き、ヒット作となりました。
この両車には、どのような特徴があるのでしょうか。

日産のシルビア(S13型)は、1988年5月に第5世代として生まれ変わってデビューしました。
5代目となるシルビアは、初代とはデザインコンセプトはずいぶん違ってはいましたが、メーカー自らが「アートフォース・シルビア」と謳ったようにデザインコンシャスな2ドアクーペでした。
シルビアは、その美しいボディデザインで、たちまち歴代シルビアを圧倒するヒット作となります。
ボディサイズは全長4470mm×全幅1690mmと従来モデルと同等で5ナンバーモデルでしたが、全高を1290mmと低く抑え、ボンネットフードも限界まで下げて獲得した流麗なエクステリアが自慢でした。
低いノーズと小さなキャビン、そして低いルーフを綺麗な曲面でつないだ美しいシルエットは、1988年のグッドデザイン大賞に輝いたほどです。同時に1988年-1989年の日本カー・オブ・ザ・イヤーも獲得しました。
ボディタイプは2ドアクーペのほかに、デビュー直後からオープンモデルの4座コンバーチブルが設定されていたのも特徴です。このコンバーチブルの製作は、オーテックジャパンが担当して、幌の開閉は電動式が奢られます。その代わり先代までラインアップしていたハッチバック車がカタログ落ちとなりました。
なお、消滅したシルビアハッチバックの後継車としてリトラクタブルライトを得た「180SX」が登場し、FR+5MTに執着する走り屋御用達モデルとなります。
搭載されたエンジンは、1.8リッター直列4気筒のNAとターボの2種です。NA版が「J’s」と「Q’s」、ターボ版を「K’s」と呼んで区別しました。
また、リアサスペンションをマルチリンク式にアップデート。車重1090kgから1130kgほどのシルビアに十分以上の運動性能をもたらしました。
しかし、シルビアのその後はあまり幸福とはいえませんでした。S13型に次ぐ6代目モデル(S14型)は肥大化して人気が低迷。そして、7代目モデル(S15型)は、2002年の排出ガス規制や販売台数の低迷などを理由に、シルビアの歴史に幕を下ろすことになるのです。

















