前輪駆動になった新型BMW「1シリーズ」試乗! FF化で得たものと失ったものとは
BMWの「駆けぬける歓び」は、後輪駆動でないと出せない味?
それでは走ってみましょう。
先代と同じ3気筒エンジンとは思えないまろやかなエンジン音で、アクセルを踏んでいったときにはパンチがあり、高回転までスイスイ回ります。
さらにアイドリングストップからの再始動のときの振動と音はとても静かになり、アイドリングストップからブレーキペダルの足を放すときに身構えなくても済むようになりました。
ボディ剛性も高く、ガチッと強いボディによりハンドリング性能も乗り心地も高いレベルに仕上がっています。
後輪はFFにしては豪華なマルチリンクを採用して、タイヤの接地は安定し、高いグリップ力を発揮します。コーナリングでも不安定な姿勢にはなりにくいので、安心感があります。
コーナーの立ち上がりにアクセルペダルを深く踏み込んでいったときにも、FFらしさが出ないように(=BMWのFRっぽさを演出するために)、内側のブレーキを軽くかけるワザも効いてか、アンダーステアを出さずにワインディングロードを駆け巡ることができます。
ボディ剛性が高いことが、乗り心地も良くしています。フワフワしたソフトさはありませんが、サスペンションがしなやかに動くために、205/55R16サイズのランフラットタイヤを履いていてもタイヤからの振動を抑え、ブルブルとした振動を感じにくくなっています。
BMWの上級車の高級装備も1シリーズに付いています。ボタンひとつの全自動で縦列や車庫入れができるパーキングアシスト、50mの距離なら前進のときと同じ軌跡になるようにハンドル操作をしてくれるリバースアシストは嬉しい装備です。
今回の試乗のメインは118i Playでしたが、M135ixDriveにも短い試乗をしました。こちらは2リッター直列4気筒ターボエンジンで、306馬力/5000−6250rpm、450Nm/1750−4500rpmを4輪で駆動します。
メインは前輪駆動ですが、前輪が後輪より少しでも速く回ろうとするとすぐに後輪にも力を伝えます。こうしてホイールスピンしないで高出力を使えるようになっています。
ドライブフィールはxDrive(4輪駆動)ということもあり、118iよりさらにしっかりした感じになりました。タイヤも118iより太い225/40R18になっていることもあり、さらにしっかりと踏ん張る感じが出ています。xDriveということもありますが、ここまで仕上がっていると、一般道走行ではFFベースなのかFRベースなのかがわからなくなります。
こうして新しい1シリーズに乗ってみると、FFとしてとても良くできていてハンドリングも乗り心地もエンジンパフォーマンスも装備も優等生だと思いました。
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しかし、これがBMWの1シリーズだという条件を加えると、ちょっと疑問が残ります。
BMWの調査では、1シリーズのオーナーの80%は自分のクルマの駆動方式を知らなかったそうです。さらに、1シリーズであるものの、もっと広い室内が欲しいという要望が出ているといいます。
それを踏まえて今回、FRからFFに大転換をしたのですが、やはりBMWの「駆けぬける歓び」の基本は、FRだからこそ得られるものだと筆者(こもだきよし)は思います。
首都高速のカーブを気持ちよく曲がる感じ、クルマ自ら曲がろうとするかのようなコーナリングは、前後50対50の重量配分だからこそ実現できるものです。
スタッドレスタイヤを履いて雪道のワインディングロードを走るとき、コーナーでアクセルを踏みながら出口に向かうとき、後輪の駆動力とコーナリングフォースのバランスを取りながらアンダーステアを感じさせないコーナーからの脱出も、やはりFRならではのフィーリングです。
昔トヨタがFRのAE86カローラレビン/スプリンタートレノをやめてAE92型からFFにしましたが、現代になって再びFRのスポーツカー「86」を出した意味はどういうことなのか。
BMWというブランドは、ユーザーの声を聞き、台数を追うことを目標にしたらいけない企業だと思うのは、筆者だけなのでしょうか。
ん~?回転半径に関しては確かに駆動方式は影響するけど、この車種は車幅が影響してるのではないかな?
この小型エンジンであればオイルパンなどの操舵機器の障害物は小型でFFとは言え切れ角は確保できるはずだよね?
メルセデスW222のS300hはSクラスにCクラスにも搭載されている4気筒ディーゼルを搭載したことで5.1mと言う数値を実現してるし、これは同エンジンのCクラスですら凌ぐ数値でワイドトレッドによるタイヤハウスの自由度に加え操舵機器の障害になりにくい小型ディーゼルを搭載した賜り物だろうね
もうFFは曲がらないと言う考えは捨てたほうがよいかもね