トヨタ新型「ライズ」とダイハツ新型「ロッキー」は大ヒットする? 国内市場を見据えた小型SUVの実力とは

ライズ/ロッキーはデザイン以外にも違う点が存在

 ライズ/ロッキーの内装もチェックしてみましょう。インパネなどの質感は、とくに高いわけではありませんが、不満も感じません。

 メーターは見やすく、エアコンのスイッチが高い位置に装着されて扱いやすいです。シフトレバーは前後方向に動かすタイプで、オーソドックスではありますが馴染みやすいです。

トヨタ新型「ライズ」の内装
トヨタ新型「ライズ」の内装

 前席は座り心地を含めて満足できますが、後席はユーザーによって少し狭く感じるでしょう。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシひとつ半くらいです。

 ホンダ「ヴェゼル」はライズ/ロッキーよりもボディが少し大きいですが、後席の膝先空間も握りコブシふたつ半です。ファミリーユーザーがライズ&ロッキーを買うときには、後席に注意が必要です。

 それでも、全長4.2mを超えるマツダのSUVに比べると、ライズ/ロッキーの後席は車格のわりに広く設定されています。後席の足元空間は「CX-30」と同程度で、「CX-3」よりも広いため、全長が4m以下のSUVとしては、空間効率が優れた部類に入るでしょう。床の位置は、最低地上高を十分に確保しながら低めに抑えたので、乗降性も良好です。

 ライズ/ロッキーのボディサイズは、トヨタ「ヴィッツ」やホンダ「フィット」と同程度で運転しやすく、SUVらしい外観や悪路走破力も備えています。最低地上高に余裕を持たせてSUVらしさが濃厚なので、駆動方式は4WDがオススメです。

 筆者(渡辺陽一郎)が推奨するライズ/ロッキーのグレードは、価格が安い順に、「ロッキー4WD X(208万6700円)」、「ライズ4WD G(213万3700円)」、「ロッキー4WD G(222万4200円)」、「ライズ4WD Z(228万2200円)」です。

 ライズとロッキーの両方に、「X」と「G」というグレードが設定されていますが、同じグレード名なのに、装備と価格は大きく違います。

 ロッキーXに近いのはライズGで、両車ともに衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を作動させるスマートアシスト、TFTカラー液晶ディスプレイ、16インチアルミホイールなどを標準装着しています。

 上級グレードではロッキーGとライズZの装備が似ており、全車速追従型クルーズコントロール、LEDフォグランプなどが備わり、アルミホイールのサイズは17インチに拡大されます。

 いずれの組み合わせともに、ライズはロッキーに比べて5万円前後高めの設定です。ライズでは細かな装備が充実していますが、価格差に見合うほどの内容ではありません。つまり価格の割安感を競えばロッキーが勝ります。

 ただし値引きやローンの金利、残価設定ローンの残価率などによって損得勘定が逆転することもあるので、購入時にはライズとロッキーを商談して比べるとよいでしょう。

 またライズとロッキーは基本的に同じクルマですが、トヨタとダイハツではターゲットとなるユーザー層が違います。

 トヨタブランドのライズは、先代RAV4や「ヴォクシー&ノア」など、トヨタの小型/普通車からダウンサイジングするユーザーが多く想定されます。

 レンタカーなどの需要もあるため、最廉価のXは、スマートアシストなどを装着していません。装備を簡素化して、2WDの価格を唯一170万円以下に抑えました。

 一方のロッキーは、トヨタ製のOEM車を除くとダイハツブランドの最上級車種なので、軽自動車から上級移行するユーザーも視野に入れて開発しました。いまの軽自動車は内外装の質が高いので、ロッキーはさらに上質にしなければなりません。

 そこで、ライズには設定されないレザー調シート表皮などを備えた「プレミアム」という独自の最上級グレードがロッキーには用意されています(4WDの価格は242万2200円)。

 ライズとロッキーは、市場戦略に基づいて複数のグレードを用意しているのです。それだけ国内市場に力を入れたSUVともいえるでしょう。

トヨタ ライズの詳細を見る

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どこが違う? トヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」画像で比較!(40枚)

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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1件のコメント

  1. これが国内を見据えた車なのか・・・
    日本のお客さんは怒らなきゃ!
    寿司が回転する回転寿司ではなく客がネタの周りを回転させられてるような感覚だよな
    どうか日本のお客さんには回転寿司でも新鮮なネタを板前に注文するような肥えた眼を養ってほしいですね。

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