買えなくなると欲しくなる!? 「エスティマ」や「パジェロ」など販売終了すると人気復活する訳

2019年は、トヨタ「エスティマ」「マークX」や三菱「パジェロ」など、かつて主力だった車種の販売終了が多い年です。販売の低迷から販売終了につながるケースが多いのですが、一方で終了がアナウンスされると販売台数が伸びる傾向があるようです。それは一体なぜなのでしょうか。

人気低迷で販売終了するのに、なくなるというと人気が出る!?

 2019年は、メジャーな車種の終了が相次ぎました。三菱「パジェロ」(日本向けの生産のみ終了)、トヨタ「エスティマ」「マークX」が生産を終え、スバル「WRX STI」や日産「キューブ」も終了することになっています

2019年10月に生産終了したトヨタ「エスティマ」
2019年10月に生産終了したトヨタ「エスティマ」

 車種ラインナップの再編のため、基準が引き上げられた衝突安全性に対応できなくなった、または対応するための改良にかかる費用を回収できるほどの販売台数が見込めないなど、販売が終了される理由はさまざまありますが、いずれも共通するのはフルモデルチェンジがしばらくおこなわれていなかった車種だということです。

 たとえばマークXがフルモデルチェンジしたのは2009年10月、キューブは2008年11月、さらにパジェロやエスティマの登場は2006年で13年間も世代が変わらないまま販売されていました。

 WRX STIに関しては搭載されるエンジンの生産終了にともない受注が終わるのですが、ほかのモデルが生産終了する理由は販売台数の減少です。

 人気モデルであればフルモデルチェンジしますが、販売終了する多くの車種はそこまでの人気回復が見込めないことが背景にあります。

 ところが、生産を終了する一部の車種の販売データを見ると、興味深い変化があります。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表する販売ランキングによると、2019年のエスティマの販売台数は、4月が591台(対前年度比88.6%)、5月が694台(93.3%)と、対前年度比でマイナスが続いていました。

 しかし6月には970台(110.4%)とプラスに転じ、7月に851台(136.2%)、8月は627台(122.5%)を販売。4月から9月の販売台数は4702台で、対前年比114%となっています。

 つまり、前年よりも売れていたのです。もうすぐ生産終了するというのに、なぜエスティマの人気は盛り返したのでしょうか。

 その理由は「駆け込み需要」です。エスティマを扱う販売店のスタッフは、次のようにコメントしています。

「決して多いわけではありませんが、生産が終わると知って新車を購入されるお客さまもいらっしゃいます。エスティマの場合は、ずっと乗り継いでいただいているお客さまで、『デザインが気にいっているから、新車が買えなくなるのなら買えるうちに』というパターンがありました」

 2019年8月に国内向けの生産を終了したパジェロは、2018年度(2018年4月から2019年3月)の販売台数は年間で651台でした。

 しかし、2019年4月に「8月で日本向けパジェロの生産を終了する」と発表されると販売台数が増え、2019年4月から10月までの半年で合計834台を販売。明らかに数が増えています。

 三菱自動車の広報部は、「最終モデルとして限定700台を用意した『ファイナルエディション』も販売店での在庫がわずかに残っているのみでほぼ完売しています。日本向け生産の終了による駆け込み需要はあったと考えられます」といいます。

 パジェロは日本向けの生産が終了した一方で、次のモデルがいつ国内市場に登場するのか明らかになっていません。そこでファンは「新車で手に入るうちに買っておこう」と購入したケースが多いようです。

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