買えなくなると欲しくなる!? 「エスティマ」や「パジェロ」など販売終了すると人気復活する訳
生産終了が発表されると爆発的に売れるクルマも存在
駆け込み需要の傾向がさらに顕著なのがWRX STIです。同モデルに搭載されている「EJ20型」と呼ばれるエンジンは約30年の歴史を持つレジェンド的なパワーユニットですが、ついに生産が終わるのです。
WRXは、自販連の販売ランキングで50位圏外が続いていました。しかし2019年8月には663台を販売して47位にランクインしています。
販売台数自体は目を見張るものではありませんが、対前年度比172.7%というからとんでもない数字です。翌9月には1047台(159.4%)も販売しました。
自販連が発表するWRXの販売台数は、「WRX STI」と「WRX S4」を合算した数値になります。スバル広報部によると「通常はS4の販売台数の方がSTIより多いのですが、8月以降はSTIの方が多く売れています。STIが終了することによる駆け込み需要の影響があるようです」といいます。
さらに、WRX STIの最後を飾る「EJ20 ファイナルエディション」を555台限定として用意し、事前申し込みを受け付けたところ、販売台数を大きく超える約1万3000件もの申し込みがありました。約23倍の倍率に膨れ上がってしまったのだから驚きです。
「EJ20 ファイナルエディション」は“バランスドエンジン”と呼ばれる通常モデルとは異なり特別に調律されたエンジンが搭載されているのがポイントで、さらにBBS製ホイールなどが標準採用されていることを考えると452万1000円からという価格はお買い得といえるでしょう。
「生産終了のアナウンスとともに爆発的に受注が入る車種があります。たとえば『R1』やスバル製の『サンバー』がそうでした。サンバーについては、あまりに注文が殺到して生産が追い付かなくなり、受注終了のタイミングを当初のアナウンスより早めざるを得なかったほどです。
今回のWRX STIは、『ファイナルエディション』の抽選に外れた人も通常モデルであれば購入できるタイミングになっています。しかし、想定している以上に注文が集中するとオーダーストップのタイミングを早める可能性もゼロではありません」(スバル広報部)
ファイナルエディションなど最後を記念するモデルは、買おうかどうか迷っている人の背中を押す役割があるようです。なかでも、今回のWRX STIファイナルエディションのように、標準仕様に比べて性能アップが図られているモデルに関してはさらに人気が高まる傾向にあるでしょう。
たとえば2015年に1000台限定で販売された三菱「ランサーエボリューション ファイナルエディション」や、2002年に同じく1000台限定で販売された日産「スカイランGT-R VスペックII Nur/Mスペック Nur」もエンジン出力をはじめ走行性能が標準仕様より高められており、すぐに完売しました。
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鉄道の世界では、役目を終える車両や廃線になる路線を乗りに行くファンがとても多く、運行最終日には多くの人が駆けつけるそうです。それと同様にクルマでも、「買えるうちに買っておく」というユーザーが、ある程度存在すると考えていいでしょう。
かつての人気車やビッグネームになるほどその傾向は強まり、「ファイナルエディション」などを設定するとさらに注目度が高まる傾向にあるといえそうです。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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