大ヒットから10年 トヨタは3代目「プリウス」の大量の使用済バッテリーをどう処理するのか?

大量の駆動用バッテリーはどこへ行く?

 プリウスなどのハイブリッド車で、使用済みとなった駆動用バッテリーはその後、どうなってしまうのでしょうか。

トヨタ現行(4代目)「プリウス」
トヨタ現行(4代目)「プリウス」

 そこには大きく、3つの「R」があります。「リビルド」「リユース」、そして「リサイクル」の3つです。

「リビルド」とは、トヨタ販売店などで正しい方法で取り外された駆動用バッテリーは検査によって状態が良いと判断されると、修繕をしてハイブリッド車の車両補給バッテリーとして販売されます。

 もうひとつの「リユース」は、「リビルド」バッテリーを各種施設の定置用電源にする方法です。2013年からトヨタ販売店向けなどに販売していましたが、2018年からは中部電力を連携して風力発電など再生可能エネルギー向けの蓄電システムとする実証を始めています。

 そして「リサイクル」ですが、ニッケル水素バッテリーの場合、トヨタHV(ハイブリッド)引き取り受付センターがトヨタ販売店や解体業者を介して駆動用バッテリーを回収。

 リサイクル専門業者によってリサイクル加工され、ニッケルコバルト精錬されたのちに、新しいニッケル水素バッテリーの原料として使われます。

 こうした日本国内で開発した3つの「R」を、アメリカ、欧州、中国、アジアでも現地のリサイクル関連事業者と連携して展開している状況です。

 トヨタの担当者は「ハイブリッド車に関するこうした活動を、今後もこれまでどおりに続けてまいります」と話します。

※ ※ ※

 トヨタの予測では、ハイブリッド車の廃車時期を新車販売から15年後から25年後とすると、2050年頃にはハイブリッド車の新車販売台数と廃棄される駆動用バッテリーの数は同じレベルに達します。

 そのため、3代目プリウスの廃車が増える2020年代には、3つの「R」を連携させたエコシステムが確実に回るような努力が必要になるでしょう。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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