日本はなぜAT車多い? MT車主流の欧州市場との違いとは

日本で市販されている多くのクルマはAT車ですが、欧州各国ではいまだにMT車が主流です。なぜ地域や国によってMT車の比率は異なるのでしょうか。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると、日本の乗用車販売(軽自動車と輸入車を除く)におけるトランスミッション(AT車とMT車)の構成比では、1985年にAT車は48.8%と半数に満たなかった状況でした。

 しかし、1990年代になってAT車が急速に普及し始め、1990年に7割を突破して72.5%となり、1995年に8割超え、2000年に遂に91.2%になりました。その後も徐々にAT車の構成比は上がり、2016年には乗用車新車販売の約98.4%をAT車が占めるほどになりました。

 日本以外の国では、MT車とAT車の比率に変化はあるのでしょうか。

マツダはほとんどのモデルにMT車を設定している
マツダはほとんどのモデルにMT車を設定している

 年代はややバラつきがありますが、環境シンクタンクの国際クリーン交通委員会によるとMT車の構成比率は、米国市場(乗用車、以下同様)は1992年の25%以降、2012年は7%となり2017年は3%と、日本同様にAT化が進んでいることがわかります。

 現在、世界一の自動車消費国といわれる中国市場でのMT比率は、2006年の63%から2012年は57%という割合です。また、欧州市場(EU加盟27カ国)では、2001年の88%に対して2010年も83%と大きな変化はありませんでした。

 また、他地域の多くの国でも約8割がMT車と、日本と米国を除くほとんどの国ではいまでもMT車の需要が高いことがかわっています。

 国際的にも徐々にMT車ニーズが減少傾向にあるものの、AT普及率の高いドイツでも23%程度です。欧州市場では、まだMT車が主流でAT車に乗るのは一部の人といった状態です。

 なぜ、日本とそのほかの国々でMT車比率に大きな差があるのでしょうか。大手自動車メーカーのスタッフは次のように説明しています。

「日本では、平成になってからAT車が急速に増えはじめました。これは、日本の信号の多さや狭い道などの道路事情や『クルマは生活の足』といった利便性を求めた、日本人の性格が大きく関係しています。

 一方の欧州では、MT車に比べてAT車の方が車体価格が高いことや、日本と比べて長距離を走る機会が多いなど、環境が異なります。また、都市部を除けばすぐ速度域の高い道路があるため、AT車に比べるとMT車の方が燃費が良いことも挙げられるかもしれません。

 また、日本に比べて運転が好きな人が多いことから、自分でクルマを操る楽しみを得るためにMT車の比率が高いのだと思います」

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