日本はなぜAT車多い? MT車主流の欧州市場との違いとは

今後のMT車はどうなる?

 AT車は1940年代にすでに米国で実用化され、急速に普及します。大排気量エンジンに安いガソリンを入れて、ゆったりドライブするのがメインの米国では、AT車の伝達力ロスと燃費悪化は問題とされず、簡単操作の「イージードライブ」が圧倒的に支持されました。

トヨタ「プリウス」のAT車
トヨタ「プリウス」のAT車

 20世紀に、米国は世界一の自動車消費国になり、その巨大市場に日本や欧州の自動車メーカーが参入します。米国で売るにはAT車が必須となったのです。

 その後、日本でも都市部の「慢性的な渋滞」や「帰省や行楽シーズンの高速道路の渋滞」などを受けて、AT車が普及します。また、国産自動車メーカー各社はATという枠のなかで燃費やレスポンスの向上に努め、6速以上の多段式ATや電子制御CVTといった新技術を投入していきました。

 前述のとおり、欧州ではAT車は一般化しづらい状況ではありますが、今後10年ほどで大きく変化を迎えようとしています。

 2016年6月、ノルウェーが「国家運輸計画2018-2029年」において、2025年までに排気ガスを排出しないゼロエミッション車の比率を増やすことを盛り込みました。2017年7月には、フランス政府も「2040年までにハイブリッド車を除く、ガソリンおよびディーゼルエンジン車の販売終了を目指す」と発表するなど、急速に電動化にシフトしはじめています。

 また、アジア圏のインド政府は2017年6月、2030年までにガソリン車およびディーゼル車の国内販売を禁じ、国内で販売する自動車を電気自動車のみに制限するとの方針を表明しました。

 同様に、中国政府も2015年に策定した「中国製造 2025ロードマップ」において、EV、PHV、FCV の販売台数を2020年に200万台、2025年に700万台とする計画を掲げ、この計画を実現するために政府は、同国内で一定台数の製造・販売している自動車メーカーに対して、全体の販売の一定量をEV、PHV、FCV とするように義務付けています。

 このように、世界中でクルマの電動化は顕著になっており、エンジン出力を車輪に伝えるトランスミッションという概念自体が過去のものになりつつあるのです。

 また、ATの燃費性能や耐久性の著しい向上や先進安全運転支援システム(ADAS)、自動運転との協調性の高さなど、今後MT車のシェアは減ることはあっても増えることはないという流れは止められないようです。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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