販売世界No.1車「カローラ」 今秋発売の新型はどこが進化? 日本は5ナンバー現行車も併売か
そして、若返りを図るのがデザイン
じつは、海外向けの新型カローラには北米や欧州で販売されている「スポーティ顔」とアジアで販売される「ラグジュアリー顔」のふたつの顔つきがあるのですが、日本は前者。
顔つきは、カローラスポーツと同じテイストで、グッとスポーティな雰囲気へと大変身します。筆者(工藤貴宏)はすでに海外で新型カローラの実車に触れていますが、スポーティ顔のモデルは素直にカッコいいと思わせる伸びやかなものです。
ただし、前述のとおり日本仕様車は海外仕様に比べるとフェンダーやバンパーの張り出しを抑えた「ナローボディ」を採用。その専用ボディとすることで海外向けのスタイルのポイントである伸びやかさをしっかり受け継いでいるかが心配です。
開発をまとめているトヨタの小西良樹チーフエンジニアは、「ナローボディでも雰囲気はそのままなのでご安心ください。私でも、15mほど離れれば(海外仕様車との)見分けがつかないほどですよ」と語っています。
また、販売面で心配なのは大型化して価格帯もアップする新型が、法人ユーザーに受け入れられるのかどうかです。じつは、現在のカローラ人気は法人需要によって支えられているといっても過言ではありません。
安価な4ドアセダンであり、ハイブリッドも選べる車種として現行カローラセダンの多くは個人ユースよりも社用車として選ばれているのです。
だから日本において新型カローラが現在の高人気を維持できるか不安な部分もあるのですが、トヨタはしっかり対策を考えているという情報も。なんと、従来型(現在発売している「アクシオ」)を継続販売し、新旧併売とするというのです。
これは、プリウスが2代目から3代目へとモデルチェンジしたときにとったのと同じ方法。プリウスの場合はその後、「安価なハイブリッド車」の席を埋める「アクア」が登場しました。カローラでは、もしかすると将来的には東南アジアで販売されるヴィッツベースのセダン「ヴィオス」などを日本に投入するのかもしれません。
また「プリウスα」とのキャラ被りも心配です。新型カローラワゴンは、プリウスと共用の基本設計をベースに荷室の広いワゴンスタイルとしたモデルなので、ハイブリッドモデルはプリウスαと重なってしまいます。
しかし、スクープ雑誌などで展開されているように、プリウスαは次期型を開発している様子もうかがえます。2列のワゴンはカローラ、3列の多人数乗車仕様はプリウスαという棲み分けを考えているのかもしれません。
カローラは、車名別カウントでは世界第一位の販売台数を誇る車種です。年間100万台と、ちょっとした自動車メーカーの全ラインナップ合計生産台数と同じ程度の規模(スバルの2018年世界生産台数が98万9149台)を単一車種で生産し続けているのです。
かつては「日本を代表するスタンダードカー」と呼ばれていたカローラですが、海外で経験を積んだ現在は「世界を代表するスタンダードカー」へと成長したといえるでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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