マツダの日本名消滅で「ロードスター」はどうなる!? マツダ車が続々と海外名に変更される理由
固有の車種名を用いる理由は車種をたくさんそろえることを想定していたから
アルファベットと数字で表記される車名は、過去を振り返ると、BMW3/5シリーズなどの欧州車から始まりました。ひとつのメーカーが取り扱う車種の数が少ないこともあり、車種名よりもメーカーやブランドを訴求しようと考えたからです。
例えばメルセデス・ベンツは、1980年代に「190シリーズ」が発売される前は、主力のコンパクトメルセデス(現在のEクラス)、上級の「Sクラス」、スポーツカーの「SL」、このほかは商用車しかありませんでした。そうなるとメルセデス・ベンツ「300E」とか「450SE」と表記した方が、メーカー名やブランド名を訴求できて都合が良かったわけです。
デザインも同様で、メルセデス・ベンツやBMWは、それぞれのブランドを象徴するフロントマスク(ファミリーフェイス)を備えています。
これはクルマの選び方にも影響を与えました。「次に買うのはメルセデス・ベンツにしようかな、それともBMWかな」という迷い方はあるでしょう。しかし「次のクルマはマツダかな、それともホンダかな」というのは少ないと思います。欧州車はメーカーやブランド、日本車は車種で選ぶのが普通です。
日本車がメーカー名よりも車種ごとの個性を重視して固有の車名を訴求するのは、アメリカのGMやフォードと同様、50年以上も前から車種を大量にそろえることを想定していたからです。
マツダは、軽自動車の「キャロル」、コンパクトカーの「ファミリア」、ミドルサイズの「カペラ」、上級の「ルーチェ」、スポーティな「コスモ」や「サバンナ」というように、車種を増やしていきます。こうなるとメーカーごとの表現は難しく、車名がアルファベットと数字では分かりにくく、固有の車名が必要でした。
その一方でマツダは、早い時期から欧州での販売にも力を入れています。そこで海外では車種を抑えて、車名もファミリアが「マツダ323」、カペラは「マツダ626」、ルーチェは「マツダ929」というように、メーカー名と数字で構成しました。この流れで今のマツダ3やマツダ6があり、今後は日本国内も同様に表現するわけです。
今のマツダは、「プレマシー」や「ビアンテ」など、国内向けのミニバンを廃止しました。他メーカーから供給されるOEMの軽自動車と商用車を除くと、車種数が大幅に減っています。
しかもそのすべてが魂動デザインとスカイアクティブ技術で成り立ち、クルマの持ち味も統一させたので、車名を海外と共通化することが可能になりました。
この動向は欧州メーカーと対称的でしょう。例えばメルセデス・ベンツは、2000年以降はSUVを数多く開発するようになり、そのほかのカテゴリーも増えました。それなのに車名は以前と同じアルファベットと数字の組み合わせなので、表現が繁雑になっています。「CLA」「GLA」「GLC」「CLS」「SLC」と並ぶと、よほどのファンでない限り、すぐには外観が思い浮かばないでしょう。
トヨタとレクサス・VW(含むセアト・スコダ)とアウディのように、同じグループ内でも、大衆車は具体的車名で、お高い方はアルファベットと数字で示している。今後のマツダの車名は最近のBMWスタイルですね。個人的には、数字が先に来るより、アルファベットが先の方が車形が浮かびやすい。また、数字が先だと、最近のプジョーやBMWのように、車名の行き詰まり感じる。