人気の軽自動車売れすぎ注意? 販売好調の陰には日本の不安な将来像が見えていた
新車販売店が抱える問題とは
軽自動車の増加は、税収面でユーザーに弊害があるばかりでなく、新車を販売する販売店の収益にも影響を与えます。

大手自動車メーカーの販売店スタッフは次のように話します。
「軽自動車は、1台当たりの粗利が少ないため、小型車や普通車に比べるとまったく儲かりません。軽自動車でも売れれば車検、点検、保険などの仕事が入りますから、もちろん販売した方が良いのですが、小型車とのバランスも大切です」
販売店が儲からないということをユーザーの側から見れば、「軽自動車は機能や装備の割に価格が安い」といえます。だからこそ人気を高めたのですが、その反動で小型/普通車の売れ行きが下がると販売会社は困ってしまいます。
問題は販売会社の経営が行き詰まると、店舗の削減などリストラが進むことです。馴染みの店舗が廃止されたりするとユーザーも困るでしょう。
国産車のメーカーは、今は海外を中心にクルマを販売するため、日本国内にコストを費やさない傾向が見られます。その結果、国内販売が軽自動車に託された面もありますが、そこには弊害も生じるわけです。
※ ※ ※
日本車メーカーは、軽自動車をヒットさせたなら、それ以上に小型/普通車の開発にも力を注いで販売の不均衡が生じないよう配慮すべきでしょう。
今は、軽自動車の販売比率が前述の38%に達しましたが、理想は25%以下です。1990年頃は、軽自動車の販売比率が23%くらいでした。この時代の売り方に戻すべきです。小型/普通車のニューモデルに期待したいです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。




























































