人気の軽自動車売れすぎ注意? 販売好調の陰には日本の不安な将来像が見えていた

昨今の軽自動車は経済性にも優れ、デザインや性能も普通車顔負けのモデルが多数登場していますが、その一方で、軽自動車が売れすぎることで弊害も生じているといいます。今後の日本を脅かしかねない問題とは、いったい何なのでしょうか。

軽自動車の税金も値上げの可能性

 しかし今の状態が続くと、軽自動車税を値上げする可能性が高まるでしょう。すでに値上げはおこなわれており、以前の軽自動車税は年額7200円でしたが、2015年4月1日以降に届け出された車両は、年額1万800円に値上がりしました。軽自動車の販売比率が今後も増え続けると、さらに値上げされる可能性があります。

2019年7月にフルモデルチェンジするダイハツ「タントカスタム」(左:従来型/右:新型)

 軽自動車の税金が値上げされると困るのは、公共の交通機関が未発達な地域に住む人達です。とくに高齢者の場合、都市部に住んでいればシルバーパスを使って低料金で移動できますが、公共の交通機関を利用しづらい地域では、軽自動車を購入して通院や日常的な買い物をしています。

 このときに使われる軽自動車は、好調に売れる最新型のN-BOXやスペーシアではありません。古いホンダ「ライフ」やスズキ「ワゴンR」などです。

 年金で暮らす高齢者にとって、軽自動車税が年額7200円から1万800円に増えるのは、大幅な負担増加となります。これ以上、軽自動車の販売比率が拡大して小型/普通車の割合が減ると、さらなる負担増加となり、移動の自由を奪いかねないのです。

 このような状況を心配する理由は、すでに自動車関連の税金が酷い状態になっているからです。最初に登録してから13年を超えた軽自動車は、軽自動車税が年額1万2900円に上がってしまうのです。

 自動車重量税も同様です。車検を受ける時に納める2年分の重量税は、軽自動車では通常なら6600円ですが、最初の登録から13年を超えると8200円、18年を経過すると8800円に増額されます。

「新しい軽自動車に乗り替えれば環境に優しい」という単純な理由で、古い車両を使うユーザーに重税を課すのが今の自動車税制です。13年を超えたクルマのユーザーが、どのような境遇にあるのか、なぜ古いクルマを使うのかなど国はまったく考えません。

 そうなると軽自動車の販売比率が増えれば、税金を高くするでしょう。軽自動車がたくさん売れるほど、軽自動車の税金が危機にさらされます。

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