アウディ 新型「A6」に試乗 8年ぶりに刷新した次世代プレミアムカーの魅力とは

思いのままに操れる感覚で、運転が上手くなった錯覚さえ覚える新型A6

 クルマに乗り込むと、ピアノブラックとアルミニウムを用いて作られた水平基調のインストルメントパネルが目に入ります。上部ディスプレイにはナビなどを表示する画面、下部にはエアコンなどを操作する2種類のディスプレイが備わっており、物理的なボタンを最小限にとどめた近未来的なコックピットデザインで、ドライバー前方にはヘッドアップディスプレイも備えます。

アウディ 新型A6 Avant 55 TFSI quattro S line インテリア

 バルコナレザーで作られたスポーツシートは、レザー表面がスッと体を包み、その奥のスポンジがしっかりと体重を支えてくれるような上質な座り心地。サイドショルダーの張り出しや形状も絶妙で、しっかりと身体を支えてくれます。このシートであれば、少々激しい走行をしても身体が振れることはなく、ドライバビリティを損なわないでしょう。

 ブレーキを踏んでスタートスイッチを押しますが、エンジンがかかった様子はありません。これは、48Vマイルドハイブリッドシステムにより、時速22キロ以下であればモーターのみで走行できるEVモードを備えているためです。減速時にエネルギーを回収し、バッテリーに電力を蓄積。このシステムにより100キロ走行あたり0.7リッターの燃料を節約できるとのことです。

 一般道に出てアクセルを踏んでいくと、まずは静粛性の高さに驚かされます。風切り音やクルマから発せられるノイズはほぼ皆無といって良いでしょう。時速22キロ以上の惰性走行ではエンジンとモーターによる駆動ですが、エンジンがかかっていてもボンネット付近から入ってくる音はありません。エンジンの振動も感じないため、本当にエンジンがかかっているのかと疑ってしまうほどです。

 新型A6は紛れもないプレミアムカーですが、乗り心地は他社のプレミアムカーとキャラクターが異なるように思います。どこまでもフラットで、道路からのインフォメーションがなく、滑るように走るプレミアムカーとは違い、ドライバーが運転を楽しめるように車両から伝わってくるメッセージをあえて少し残してあるようなイメージです。

 試乗車にはオプションのホイールが装着されていたため、255/35R21サイズのピレリ PZEROが装着されていました。これほど低扁平で幅広なタイヤだと、通常であれば路面の凹凸や轍を拾ってしまうため、決して乗り心地の良いクルマになるとはいえません。しかし、新型A6ではこの大きなタイヤのネガティブな部分を全く感じませんでした。

 オプションのタイヤホイールでも「硬い足」と感じることはないので、標準の235/45R19のピレリ PZEROであればさらにフラットな乗り心地になることでしょう。ダンピングコントロールサスペンションの制御を感じることはできませんが、上質かつスポーティなA6の乗り心地は、このシステムの恩恵ということが想像できます。

 また新型A6は、狙ったラインでピタリと決まり修正舵いらずのステアリングと、思いのままに操れる車両特性のため、実際のサイズよりも車体が2まわりほど小さく感じます。A6 Avantの乾燥重量は2トンに迫りますが、いざ運転をしてみると1.6トン程度のクルマを操っているような軽やかさです。この軽い操作感覚はアウディならではといえますが、先述した数々の電子制御が自然に働くためにそう感じさせるのでしょう。

 走行中は幾度も電子制御が入っているはずなのに、それを全く感じさせないところに感心します。のちに担当者に話を聞くと「新型A6は不自然さを徹底的に排除して作られたクルマ」と答えが返ってきました。操作に対する不自然さやドライバーの意図しない動きがなく、クルマと自分が一体になっているような感覚さえ覚えるので、A6をドライブしていると自分のドライビングスキルが一気に上がったような錯覚に陥るのです。

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