AT車のシフトレバー“下のほう”にある「B」とか「L」いつ使う!? 「大きな音」出たけど故障ではない? いつもの「D」より役立つ“機能”とは

AT車のシフトレバーにある「2」「L」「S」「B」といったポジションは、いったいいつ使うのが良いのでしょうか。正しい使い方について紹介します。

「D」や「R」は使うけど… 積極的に活用したい「そのほかのポジション」とは

 AT車のシフトレバーにある「2」「L」「S」「B」といったレンジは、果たしてどのような時に使えばよいのでしょうか。

 普段は「D」レンジばかりで見落とされがちなこれらのポジションの意味について紹介します。

「使ったことない」人も!? AT車シフトの下のほうにある「B」いつ入れるのが正解!?[画像はイメージです]
「使ったことない」人も!? AT車シフトの下のほうにある「B」いつ入れるのが正解!?[画像はイメージです]

 日本の新車市場ではAT(オートマチックトランスミッション)車が圧倒的に主流で、販売比率が98%を超えています。

 乗用車に限れば99%に迫っており、MT(マニュアルトランスミッション)車はごく一部のスポーツカーや商用車に残るのみです。

 背景には、CVTをはじめとするAT技術の進化による燃費性能の向上や、運転のしやすさがあります。

 また、構造上ATでしか成り立たないハイブリッド車や電気自動車の普及も拍車をかけています。

 そんなAT車ですが、シフトレバーに刻まれた英数字の意味を正しく理解しているでしょうか。

 AT車のシフトレバーには、「P(パーキング)」「R(リバース)」「N(ニュートラル)」「D(ドライブ)」以外にも、「2」「L」「S」「B」といった記号が刻まれている場合があります。

 これらはいずれも「特別なシーンでの走行を補助するためのポジション」で、適切に使い分けることで安全かつ効率的な運転が可能になります。

 まず「2」は、セカンドギア(2速)での固定走行を指します。

 通常のDレンジではクルマの速度に応じて自動的にギアが変速されますが、「2」に入れることで、1速と2速のみを使用し、3速以上には上がらないよう制御されます。

 これにより、エンジンブレーキを強めに効かせたり、上り坂や下り坂などで、駆動力を確保しやすくなるメリットがあります。

 同様に「L(ロー)」は、1速に固定する(もしくは低速ギアに制限される)モードで、より強力なエンジンブレーキを発揮するポジションです。

 急な下り坂でブレーキへの負荷を軽減する際や、雪道やぬかるみでゆっくり走行したい場合などに活用されます。

 ともにエンジンの回転域があがりエンジン音も急激に高まるので、慣れないと驚く人もいるかもしれませんが、もちろん故障などではありません。

 なお「S(エス)」は、車種によって意味が異なる点に注意が必要です。

 一部のモデルでは「セカンドギア(2速)」を指す場合もありますが、多くの車では「スポーツモード(Sport)」として設計されており、エンジン回転数を高く維持しながら変速するモードです。

 加速性能を高めたい場面や、カーブの多い山道で俊敏なレスポンスを得たいときに有効です。車種によっては、Sレンジに切り替えるとエンジン回転数が高く保たれ、アクセルに対する反応が鋭くなります。

 このほか「B(ブレーキ)」は、ハイブリッド車や一部のCVT車で見られる表記で、主にエンジンブレーキを強めに効かせたいときに使用されます。

 トヨタ「プリウス」などで採用されており、長い下り坂での速度コントロールや、ブレーキの負荷軽減に役立つモードです。

 特にトヨタのハイブリッド車では、Bレンジは回生ブレーキを強化するというよりも、エンジンブレーキによる減速を主体とする設定になっている場合が多く、エネルギー回収は主目的ではない点に注意が必要です。

 これらの特殊レンジは、クルマのメーカーやタイプ、トランスミッションの種類などによって多少呼び方や挙動が異なる場合があります。

 たとえばトヨタのハイブリッド車では、「Bレンジ」が主にエンジンブレーキを補助する役割を担う一方、一般的なAT車では「2」や「L」でエンジンブレーキを強調します。

 CVT車では、仮想的に段階的な変速動作を行う仕組みにより、「S」や「B」といったモードの表記が採用されるケースも見られます。

 これらのモードを正しく使うには、「ギアが変速されない」または「回転数が高く維持される」ことによる燃費の悪化やエンジンへの負担といったデメリットも理解しておく必要があります。

 普段の平坦な市街地走行などでは基本的に「Dレンジ」を使用し、急な登り下り坂や悪路、スポーツ走行時にだけ限定的に使うのが一般的な運用です。

 なお、車種によってはマニュアルモードやパドルシフトが備わっていることもあり、それらを活用することで、自分の判断でギアを制御することも可能です。

 最新車種では、こうしたモードに加えて、登坂アシストやヒルディセントコントロールなどの電子的なサポート機能が搭載されている場合もあるため、シフトレンジの意味を理解したうえで、取扱説明書などで確認しておくと安心です。

 普段はあまり使う機会の少ない「2」「L」「S」「B」レンジですが、適切なタイミングで使いこなすことで、より安全で快適なドライブが可能になります。

 特に長距離走行や山道、悪天候時には頼りになる機能でもあるため、いざというときに迷わないよう、日頃からその意味を理解しておくことが大切です。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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