なぜ四駆にこだわる? スバル・三菱が独自の4WD技術に力を入れ続ける理由

チーターのように大地を俊敏に駆け回るために4本足を駆使

 対する三菱は、「パジェロ」に代表される本格的なオフロード車が知られていますが、1987年に発売された「ギャランVR-4」より、四輪運動制御技術の開発コンセプトとして「AWC(オール・ホイール・コントロール)」を取り入れました。

三菱「パジェロ」

 AWCとは四輪制御の技術開発コンセプト(思想)の名称で、大地を俊敏に駆け回るチーターのように4本の足(タイヤ)を駆使することをイメージしています。四輪のタイヤ能力をバランスよく最大限発揮させ、あらゆる路面でドライバーの思い通りにアクセル・ハンドル・ブレーキ操作し、意のままの操縦性と卓越した安定性を実現するという考え方です。

 この「AWC」は、2007年の「ランサーエボリューション X」からは「S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)」に進化します。

 S-AWCは、AWCコンセプトを実現する車両運動統合制御システムの名称で、前後駆動力配分(4WD)と左右トルクベクタリング(AYC)、四輪ブレーキ制御(ABS&ASC)の3つのサブシステムを統合制御することで、どんな状況でもドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現。誰もが安心して気持ち良くドライブできることを可能にしました。

「ランサーエボリューション」の魂は現在のモデルに引き継がれている

 現在ではランエボの販売は終了していますが、そのNDAは「アウトランダー/アウトランダーPHEV」や「エクリプスクロス」に受け継がれています。

 他社の四駆システムには負けないポイントとして、三菱は次のように説明します。

「S-AWC搭載車もそうではない車も含めて、三菱自動車の4WDは常時四輪に十分な駆動力を伝達しているので、日常ユースでは圧雪路や積雪路、路面の荒れた舗装路など、どんなところを走ってもドライバーが路面と対話しながら安心快適に走ることができます。

 さらに安全な場所で積極的に走りを楽しもうと思ったときには、高いパフォーマンスを実現するようなクルマ作りを日々行っています」

※ ※ ※

 スバルでは、雪やダートなど、さまざまな条件下で走行するラリーを、AWD性能の実証の場としているといいます。また、三菱ではAWCの技術開発コンセプトに基づく成果が、パジェロのパリダカでの活躍やランサーエボリューションのWRCでの活躍にもつながり、三菱らしさを物語る上での重要なアイテムであるといえます。

 スバルと三菱は、かつてラリーではライバルとしてしのぎを削っていましたが、そこで培われた技術が今日に受け継がれているのです。

 スバルも三菱も、国内でのシェアは決して高いメーカーではありませんが、どちらも四駆性能という強みに磨きをかけて、独自の路線を貫いているといえそうです。

【了】

ランエボの販売は終了したけど魂は継承!スバルと三菱の四駆車ってどんなクルマ?(19枚)

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