5年ぶり全面刷新! 日産が新型「“軽”ワゴン」ルークス初公開! 斬新「神社デザイン」のカクカクボディ採用? 新たなデザインが指し示すものとは
日産は、2025年8月22日に、5年ぶりの全面刷新を遂げ4代目となった新型軽スーパーハイトワゴン「ルークス」を初公開しました。そのデザインはどのような変化を遂げているのでしょうか。デザイナーに聞いてみました。
ゲームチェンジしよう
日産は、2025年8月22日に、5年ぶりの全面刷新を遂げ4代目となった新型軽スーパーハイトワゴン「ルークス」を初公開しました。
その事前説明会でデザイナーにこだわりを聞くことができましたのでレポートします。
キーワードは“軽自動車”です。

今回お話を伺ったのは、日産グローバルデザイン本部第二プロダクトデザイン部プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎さんとCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当した日産グローバルデザイン本部アドバンスドデザイン部の三宅広華さんです。
Q:新しいルークスをデザインするうえで、入江さんが最もこだわったことは何ですか。
入江:実は先代もやっていたのでその時から感じていたのですが、日産に軽自動車があることがあまり知られていないんです。あのサクラですら知らない人がいる。まずはこれをなんとかしないといけないと思いました。
日産がいままで作ってきた軽自動車は良くも悪くもコンベンショナル(従来的な、型にはまった)、登録車ライクです。
軽自動車は日本独自のものであり、また軽自動車ならではのデザインやしつらえに特化したメーカーのクルマがたくさんある。その中で日産の軽自動車は埋もれてしまっていたのかなと……なので今回はゲームチェンジしなきゃいけない、軽自動車ならではのデザインをしようという意気込みでした。
Q:入江さんの考える軽自動車ならではのデザインとはどういうものでしょう。
入江:ラインナップ上は“日産っぽく”しなければいけませんが、デザインは“軽自動車っぽく”しなければいけない。軽自動車は規格が決まっていますから、ボディの厚みも取れないですよね。
その中で普通のコンベンショナルなデザインをしようと思うと難しいんですが、この難しさをポジティブに捉えたデザインはあるのではないか。
そこで、ルークスという語源に立ち返ったんです。なんでルークスというのかというと、ルーミーのマックス、要はマキシマムな広さ感や大きさ感がルークスの語源なわけです。
しかし現行車を見ると、フロントウィンドウやバックウィンドウが寝ているなどちょっとコンベンショナル、乗用車ライクなんですね。ですからそこを軽スーパーハイトワゴンならではとか、軽自動車ならではのパッケージングにまず変えて、そのパッケージングがデザインの魅力の一つにもなるように四角というテーマでトライしたのが今回です。
Q:つまり室内の広さを最大限に確保する、そしてそれを見せるデザインにしようということですね。ただ、そうすると今度はただの箱になってしまいます。
入江:そう、そこで重要なキーワードが上質さなんです。今の時代、非常に重要なキーワードのひとつで、これはクルマに限らず日常に使うものでも、価格以上のしつらえや、上質さに目が行きます。
軽自動車も規格は軽なのですが、軽を超える上質さが備われば絶対にお客様に選んでいただける。そこに特化させてエクステリアもインテリアもこだわり抜いたのが、このルークスなんです。
日本独自の軽自動車だから
Q:今回のエクステリアデザインの特徴のひとつにサイドビューのキャラクターラインが挙げられます。この意図を教えてください。
入江:これはカラーブレークラインと呼んでいるユニークなラインです。実は初期のポンチ絵程度のスケッチから既にあって、それを最後までやり切りました。何かしらキャラクター性を持たせたい、しかもただのキャラクターラインではなくて、最初から2トーンを意識しながらデザインしています。
またルーミーマックスという大前提のコンセプトがありますから、それをエクステリアでもより助長させたいという思いもありました。
スーパーハイトワゴンなので当然背が高く見えますから、そのまま四角にすると背の高い四角いバンに見えてしまう。
しかし、モノトーンカラーとカラーブレークラインで塗り分けられたプレミアム2トーンを比較してみると、2トーンの方は縦横比が変わって安定してワイドにも見えるんです。
それはキャビンと下屋のバランスがカラーブレークラインによって見え方が変わります。まさにそれを狙いました。
Q:このカラーブレークラインの形状にも特徴がありますね。
入江:これは唐破風(からはふ:凸型をベースに両端が反った屋根造形)をモチーフにしています。日産デザインのベースとなっているジャパニーズモダニティがひとつの理由です。
ただそれだけではなく、軽自動車は日本にしかない、ジャパンオリジナル。そこで日本にしかない伝統的なものをボディ全体で取り入れられないかと考えました。
ルークスはスライドドアですからボディサイドから人を招き入れる、つまりおもてなしの心をエクスリアでも表現できると。そこで日本古来の建築様式で神社とかにも使われている滑らかなラインの唐破風という門構え様式を取り入れて、しつらえました。
テーブルウエアと位置付けて
Q:ではこの2トーンの特徴を教えてください。
三宅:日産のエクステリアの2トーンはルーフに有彩色を採用するという特徴があります。そのうえで新しい世代のルークスでどういう表現ができるかを考えました。
今回の2トーンは全部ソフトコントラスト2色の組み合わせによって、優しく柔らかい色の組み合わせになっています。これはメインのお客様である女性に限らず、男性にも受け入れられやすいカラーの組み合わせを考えてラインナップしました。
奇抜なものは目指していなくて、日常に溶け込んだり、生活に馴染んだりという言葉を第一に考えていましたので2色のコントラストを柔らかくしています。
ラインナップ全体には濃い色も一部あるんですが、並べてみるとルークスの明るく楽しい生活が感じられるでしょう。
入江:特に2トーンカラーを含めたカラーですが、例えば食卓でいうと、食材を彩るテーブルウェア的な役割なんです。そうするとメインは食材で、それを彩るための、引き立てるためのサブ的な役割なのがこのカラーです。
ですからこちらが引き立ちすぎると食材が沈んでしまう。あくまでもお客様、乗る人がメインですからより美しい、彩り豊かな生活を送っているように見えるなどのサポートの役割をこの色味が演出しているんです。
ですから、カラーの名前もほぼ食べ物なんですよ。「フローズンバニラ」や「ソルベブルー」、「シナモンラテ」、「カンジュクカシス」とか。
入江:そういう日常的に馴染みやすい食材の名前にちなんでいます。
Q:三宅さんの一番おすすめのカラーはどれですか?
三宅:プレミアム2トーンのホワイトパールにフローズンバニラパールの組み合わせですね。
軽自動車だから買う、ではなくルークスのこのカラーだから買いたいと思わせる魅力的なボディカラーが満載です。これだけでも選ぶ楽しさがありますね。
デザインもルークスの意味を改めて振り返り、前後ピラーを立てることでルーミーマックスを実現。その上で唐破風をモチーフにデザインを仕上げているのも日産ならではといえるでしょう。


















































