コレは凄い! トヨタ「センチュリー」匠のスゴ技光る驚きの制作過程とは

センチュリーの塗装は7層 塗装工程だけで一週間かかる

100本以上の蛍光灯で塗装の仕上がりをチェックする

驚きのポイント3:手作業の修正が細かすぎる

 センチュリーのボディ横には、フロントからドアを経て、リアまでまっすぐなプレスラインが入っています。ところが、そのラインはただの一本線ではありません。1cm弱ほどの幅があり、日本古来の「几帳面」と呼ばれる角の処理となっています。ただし、機械で角を作ったままだと微妙な凹みが残ってしまうそうで、ほかにあるラインも角をきれいにする必要もあるとか。

 そのため、ボディは最後に手作業で仕上げられます。専門のクラフトマンが手作業によって叩き、グラインダーで磨く、まさに職人芸です。これができる人間は、わずか3名しかいないというのも驚きです。

 そしてボディが完成したら、最後にドアの取り付け角度の修正です。プレスラインがまっすぐになるように、ドアのヒンジの部分を調整します。見ていると、実際には数ミリのズレが。これは、後に内装材を取り付けると重量でドアが下がるので、それを見越しているためとか。また、ボディとドアの隙間は3.5mmで、これはトヨタ最小の数値です。この修正とチェックだけで1時間もかかるそうです。

驚きのポイント4:通常のボディ塗装は4層のところ7層

 通常の量産車の塗装は、4層構造になっています。ところがセンチュリーのブラック塗装(エターナルブラック「神威」)は7層構造。普通は「電着」「中塗り」「ベースカラー」「クリア」で完成です。ところがセンチュリーは、その上に「ベースカラー」「カラークリア」「トップクリア」の3層をプラス。いってしまえば普通の塗装を2回行うようなもの。

 しかも2018年の新型車からは、色がついた「カラークリア」を採用しています。粒子の細かい染料が入っているため、光を反射にしにくくなります。つまり、より黒黒とした色になるのです。センチュリーといえば黒。その黒にとことんこだわった塗装なのです。

驚きのポイント5:塗装ブースから出てくるのに1週間もかかる

 通常の塗装は4層のところ、7層も塗装するセンチュリーでは塗装に時間がかかります。しかも、途中で1時間かかる水研を3回し、仕上げにもバフ研磨を行います。水研とは、水を流しながら塗装面をきれいに研磨するというもの。バフ研磨は、仕上げとして文字通りに鏡のようになるまで、表面を磨きあげます。

 もちろんこれらの研磨作業は手作業。これも、できる人は、4名+訓練中2名のわずか6名しかいません。仕上がった塗装面の「ツヤ感」「肌の美しさ」は世界最高峰レベル。ピカピカのCピラーに写る自分の姿を見て、ネクタイを直すのがセンチュリーに乗るVIPのお約束とか。それほど塗装にこだわっているため、1台のセンチュリーにかかる塗装時間は約40時間。つまり1日8時間の作業だと、月曜にスタートしてから金曜まで、約1週間もかかってしまうのです。

これがセンチュリーの製造工場! 最高級セダンの工場を画像で見る(35枚)

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