コレは凄い! トヨタ「センチュリー」匠のスゴ技光る驚きの制作過程とは
普通のクルマでは考えられない拘りのもと生まれるセンチュリー

驚きのポイント6:組み立てラインは、わずか3台ほどの短さ
塗装が終わったボディは、エンジンをはじめ、シートや内装材などの部品が組み立て工程で取り付けられます。普通の量産車では、ベルトコンベアーに乗った車両にたくさんの工員が流れ作業で部品を取り付けていきます。ところがセンチュリーの組み立て工程にベルトコンベアーは無く台車での移動です。台車の上にセンチュリーが載せられており、しかも移動は人力。
組み立てラインの端から端までほんの数十メートルしかなく、車両は3台しか置けません。こんなに短いラインは、少数生産スポーツカー「LFA」や燃料電池車「ミライ」くらいでしょうか。しかも組み立てに係るスタッフは、やはり6名のみ。2300点にも及ぶ部品を、丁寧にじっくりと時間をかけて取り付けます。
そんな丁寧さの象徴が「ヒストリー・ブック」です。これは初代センチュリーから続くもので、生産にかかわったクラフトマンが、1488項目もの品質確認を作業中に書き込んでいくものです。1967年の初代モデルから、すべてのセンチュリーに対してヒストリー・ブックが保存されているのです。
驚きのポイント7:人工太陽まで使う異様に厳しい検査
クルマができ上がると、最後に行われるのが完成車検査です。そこにはセンチュリーならではの特別な検査がありました。それが「面塗装品質確認場」です。100本以上の蛍光灯と6つの人工太陽灯で、できあがった車体の塗装面をチェックします。
ボディに写り込む蛍光灯の光は、驚くほどにくっきりとしています。ここでいろいろな角度から塗装面を見て、塗装面のくすみなどを探し出します。これにかける時間は約90分。普通ではない特別な製品とはいえ、ここまでやるとは驚くばかりです。ちなみにセンチュリーの象徴である鳳凰のエンブレムは手作りによるもので、完成までに1か月半かかるとか。
トヨタの中でも特別な存在というセンチュリーは、やはり作り手の気合も普通ではなく特別なものでした。皇室はもとより、一流の人を乗せるために作られたクルマは、生産過程から特別な存在だったのです。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。




































