BYD新型「軽ハイトワゴン」登場! SNSで“賛否両論”の新型「ラッコ」を“冷静に”ひも解く! 試乗して見えたBYDの「本気と課題」とは
BYDの新しい軽BEV「RACCO(ラッコ)」が発売しました。このクルマが「どこが本当に凄くて、どこがまだ未完成なのか」、そして「BYDはどのような現実的な計算と覚悟を持って日本に挑んできたのか」。客観的な事実と実際の走行フィーリングに基づき、冷静に紐解きます。
評価が大きく分かれる「乗り心地」
技術的な部分はどうでしょうか。BYDが5年の歳月をかけて開発した「X-Pack(10-in-1 統合駆動・バッテリー・配電一体系システム)」および「CTB(Cell-to-Body)」技術がポイントとなります。
モーターは47kW(64PS)/160Nmを発揮します。バッテリーはリン酸鉄リチウムイオン(LFPブレードバッテリー)で、容量は用途に合わせて2タイプ設定。ちなみに「200」が22.40kWh/航続距離210km、「300Plus/300Premium」はバッテリー容量35.84kWh、航続距離320kmとなっています。
サスペンションは前:マクファーソンストラット/後:トーションビーム、ステアリングは電動パワーステアリング(減速比3.410)、ブレーキは前:ベンチレーテッドディスク/後:ソリッドディスクを採用。
衝突安全性能も抜かりなしです。従来のガソリン軽自動車は、限られたエンジンルーム内にパワーユニットを詰め込むため、衝撃吸収用ゾーンの確保が課題ですが、ラッコはインバーターやPCU等を一体化した10-in-1パワーユニット(X-Pack)の採用でフロントのクラッシャブルゾーンを伸長。
車体構造には、バッテリーパックを車体フレームの一部として構造化する「CTB」技術を採用。超高張力鋼板を車体の71%に使用し、2000MPa級の超高強度鋼板も随所に配置するなど、軽自動車としてはかなり贅沢な作りとなっています。

試乗したのは最上級の「300Premium」です。アクセルを踏み込むと、EVならではの走行フィールの良さがすぐに伝わってきます。車両重量は1230kgと軽自動車の中では重量級ですが、発進直後から力強いトルクが立ち上がるレスポンスのおかげで、それを感じさせません。
ただし、凄く力強いかというとそうではなく、アクセル開度に対して極めてリニアかつ滑らかに加速するようチューニングされています。そういう意味ではガソリン車から乗り換えても違和感がなく、街中のストップ&ゴーや坂道発進でもへこたれることなくスイスイと車体を前へ押し出してくれます。
ドライブモードは「ノーマル」「エコ」「スポーツ」「スノー」の4種類が用意され、シフトノブ横のスイッチで切り替え可能ですが、ドライバーからは少々見づらいかな……と。
ノーマルモードはアクセル操作に最も忠実で滑らかであり、普段使いに最も推奨できるベストバランスと言えます。スポーツモードにするとレスポンスが向上しますが、アクセルを踏み込んだ直後に一瞬「溜め」を作ってからトルクをドカンと出す演出が施されており、人によってはダイレクト感に欠けると評されることもあるでしょう。
回生ブレーキの効きはディスプレイ内で調整可能で、ハイ設定にするとアクセルオフで強力な減速が得られ“ワンペダル的な走行”が可能ですが、減速Gの立ち上がりがやや急でカックンブレーキになりやすい傾向。ノーマル設定のほうが乗りやすいと思いました。
ステアリングも少しクセがあります。15~20km/h付近を境に急にステアリングの手応えが重くなる傾向があり、低速の交差点旋回時と郊外の直線巡航時で、操舵フィールの連続性にやや唐突感やすり合わせ不足を感じる場面がありました。
そして、乗員や走行シーンによって評価が大きく分かれるのが「乗り心地」です。車重1230kgのドッシリとした重量感と低重心な車体構造のおかげで、前席は平坦な路面や街乗りでは軽自動車とは思えないフラットな乗り心地です。
大きめのシートクッションの良さもあり、風切り音やロードノイズが遮断された無響室のような静粛性も相まって非常に快適です。
ただ、路面状況が変化すると、サスペンションの引き締め感と足回りのバタつきが顔を出します。重い車体と1800mmの全高を支えるためか足回りはやや硬めのセッティングだと思いますが、特に後席は舗装の荒れた路面や路面の目地を通過する際には、下からの細かいピッチングや不快な微振動を絶えず拾って足元や膝元へ伝えてきます。
更に気になるのは前席と後席での「乗り心地と静粛性の落差」です。前席は極めて上質で静かな空間に包まれるのに対し、後席に移動するとサスペンションからの角のある突き上げ感が直接腰に伝わってきます。それに加えて、リヤタイヤハウス周りからロードノイズが共鳴したコロコロとした音が室内へ伝わってきてしまうため、前後席で快適性のギャップがかなり大きく存在します。
























































































