BYD新型「軽ハイトワゴン」登場! SNSで“賛否両論”の新型「ラッコ」を“冷静に”ひも解く! 試乗して見えたBYDの「本気と課題」とは
BYDの新しい軽BEV「RACCO(ラッコ)」が発売しました。このクルマが「どこが本当に凄くて、どこがまだ未完成なのか」、そして「BYDはどのような現実的な計算と覚悟を持って日本に挑んできたのか」。客観的な事実と実際の走行フィーリングに基づき、冷静に紐解きます。
不利を承知で「これをやらなければ、日本で戦えない」
そんなラッコのエクステリアは、全長3395×全幅1475×全高1800mmという日本の軽自動車規格を限界まで活用した「軽スーパーハイトワゴン」スタイルを採用。
日本の軽BEVのほとんどは、車高は比較的低め(前面投影面積は小さくしたい)、スイングドアの採用(車両重量はできるだけ軽くしたい)など、少ないバッテリーで航続距離を稼ぐための工夫が随所に込められています。確かにエンジニアリング的には正論ですが、BYDは「これをやらなければ、日本で戦えない」と、不利を承知でスーパーハイト×両側電動スライドドアのパッケージを選んだと言います。
デザインは寸法とパッケージを考慮すると他車と似てしまうのは仕方ありませんが、BEVらしい先進感と街中に溶け込む親しみやすさが上手く融合しています。フロントにはデザイン性に優れ、照射性能も高いLEDヘッドライトを配置しました。夜間のグラフィックや光り方もこだわっています。
ボディカラーにおいても、試乗車の「チーズイエロー」や鮮やかな「ルビーレッド」、落ち着いた「アークティックホワイト」など多彩なラインナップが用意され、カラーリングによってポップにもスタイリッシュにも表情をガラリと変える工夫が凝らされています。
タイヤは165/65R15、上位グレード(「300Plus」および「300Premium」)には専用アルミホイールが用意されていますが、エントリーグレードの「200」に採用されているスチールホイール&ホイールカバーのデザインも非常に洗練されており、安っぽさを感じません。

インテリアは新開発のBEV専用プラットフォームと統合型パワートレイン(X-Pack)の採用による恩恵がダイレクトに伝わってきます。
室内面積2.96平方メートルの広々とした室内空間で、頭上・膝元ともに大人4人がゆったりと寛げる居住性があります。インパネ周りはスッキリとしたデザインで、スイッチ類も操作系が分かりやすく整理されています。質感は劇的に高いとは思いませんが、決して悪くはありません。
また、ステアリングヒーターやシートヒーター、保温機能付きカップホルダーなども惜しげもなく採用する一方で、ナビはApple CarPlay/Android Autoで対応と割り切っています。
機能装備として「おっ」と思ったのは、両側電動スライドドアに採用されたハンズフリー機構です。従来の足をバンパー下にかざすキック式はセンサーの反応にムラがあり、不安定な姿勢になりがちでしたが、RACCOは地面に投射されたLEDマークを「踏む」ことでスライドドアが開く直感的な機構です。バンパー下に足を探し入れる必要がなく、両手が塞がった買い物帰りや子どもを抱っこしている際に失敗なく動作するため、極めて実用的で優れたアイデアだと評価できます。
フロントシートはこのクラスでは珍しい電動調整シート(パワーシート)を備えており、シート自体のサイズやクッションの厚みもコンパクトカー並みに大きく、ゆったりとした座り心地を実現しています。
しかし、比較的背の高い男性には快適な反面、身長150cm台の小柄な女性が深く座ると座面長がやや長く、膝裏が座面前端に当たってペダルへ足が届きにくくなる場面も。座面の長さ調整機能や、より細かな高低調整など、小柄なドライバーへの配慮が望まれます。
後席はダイブダウン格納によるラゲッジの平坦化を優先した構造となっているため、クッション性が前席に比べてやや薄く硬めです。さらに後席用のサーキュレーター(天井扇)も未装備であるため、真夏にはエアコンの冷気が届きにくく、前席と後席で冷房効果の温度差が生じやすい点も注意が必要です。
更に細かい所ですが、前席にはUSB Type-AとType-Cのポートが1つずつ備わっているものの、4人乗車時のデバイス充電を考慮すると絶対数が足りないことや、フロントに比べてリア周りの内装の仕立てが簡素であることなど、もう一歩の進化が必要な所も……。
























































































