24年ぶり復活のホンダ「プレリュード」 SUV&軽全盛のなか投入した「スペシャリティモデル」は最大の「贅沢」が売りだけど… もっと「頑張ってほしいところ」とは?
24年ぶりに復活したホンダ「プレリュード」。ホンダの「ハイブリッドの象徴」としてデビューした同車ですが、今後はさらなる「スペシャリティモデル」への熟成を期待したいところです。自動車研究家の山本シンヤ氏がこのプレリュードを応援するために、今後の“課題”を分析します。
もう一歩踏み出してほしい「プレリュード」
ホンダは「2040年にグローバルでZEV(EV/FCV)販売比率100%」という目標を掲げています。その後、「Honda 0」の販売中止などを含めた戦略見直しが行われているものの、その目標自体は今も変わっていません。
ただ、過渡期を支える基幹技術として「e:HEV(ハイブリッド)」のさらなる強化を公言し、新世代e:HEVの開発も進められています。そんなホンダハイブリッドの“象徴”となるモデルが、2025年に24年ぶりに復活した6代目「プレリュード」です。
筆者(山本シンヤ)もこれまで何度も試乗していますが、小気味よさと上質さが融合したフットワークや、「ハイブリッドなのにスポーティ」「ハイブリッドなのに官能的」を実現する「ホンダS+シフト」を活用したパワートレインなどを高く評価しています。
実際に発売から1ヶ月で、月間計画(300台)の約8倍となる約2400台を受注。かつて2代目・3代目に親しんだ50〜60代が一気に動いたようですが、「直近の動き」はどうでしょう。
初期バックオーダー分の納車がひと通り進み、“指名買い”が一巡した直近の販売実績は、計画値の300台前後。もちろん、当初の計画通りかもしれませんが、頼みの綱であるアメリカを含めたグローバルでは月間目標になかなか届かない状態です。
ここでは「ガンバレ!プレリュード」と題して、様々な分析をしていきたいと思います。
まずは、歴代プレリュードが築いてきた歴史と「プレリュードらしさ」の本質を振り返ります。歴代モデルは常に、時代ごとの最新技術とスタイリッシュさを兼ね備えた「スペシャリティクーペ」の代名詞でした。

初代(1978〜1982年)は、日本初の電動サンルーフや特徴的な集中ターゲットメーターを搭載。「シビック」の上級クーペとして登場し、落ち着いた大人のドッシリ感がありました。
2代目(1982〜1987年)は、リトラクタブルヘッドライトによる超低フロントノーズを実現し、日本初の4輪ABS(A.L.B)を導入。大ヒットを記録し、言わずと知れた「デートカー」の代名詞となりました。
3代目(1987〜1991年)は、世界初の4輪操舵システム(4WS)を搭載し、歴代最高となる17万5000台を販売。超低ボンネットと四輪で自在に曲がる感覚は一世を風靡しました。
4代目(1991〜1996年)では3ナンバー化され、最高出力220馬力を誇る2.2リッター DOHC VTECと電子制御ハイパー4WSを採用。スポーツ要素を強く押し出し、「クールだが熱血系」な走りへ進化しました。
そして5代目(1996〜2001年)はデザインを王道へと回帰させつつ、世界初の左右駆動力配分システム「ATTS」を搭載。しかしミニバンブームの到来などで苦戦を強いられ、生産終了に。
歴代モデルに共通していたのは、単に「見た目がカッコいい2ドアクーペ」というだけでなく、「常に新しい驚きや先進技術が詰まっていたこと」です。
つまり、雰囲気だけのモデルではなく、ホンダの技術的挑戦のアイコンこそがプレリュードそのものだったと言えます。
そんな熱い血統を受け継いだ6代目となる最新のプレリュードですが、直近で伸び悩みが見られる理由・要因はいくつか考えられます。まず「そもそもスペシャリティクーペが現代で爆発的に売れるジャンルではない」という現実です。
現在は軽スーパーハイトワゴン、SUV、ミニバンなど、高いアイポイントと優れた空間効率を備えたクルマが人気を集めています。全高が低く、後席や荷室が限定的な2ドアクーペは、効率主義の現代においては「無駄なクルマ」といわざるを得ません。
もちろん、ホンダはそれを理解しており、「新規市場のパイ」そのものが小さい市場に投入しているわけですから、持続的な販売を維持するためには、ただ漠然と売るのではなく「育てる」という意識がないと成り立ちません。
ホンダは発売時には大々的にPRを行いますが、今はどうでしょうか。この手のモデルは一発の“打ち上げ花火”ではなく、焚火のように常に薪をくべ、「その火を絶やさずに燃やし続けること」が最も重要なのです。
また、ネットなどでは617万9800円という車両価格に対し、色々な意見が出ています。
しかし、筆者(山本シンヤ)は問題の本質は金額そのものではなく、「600万円超のプレミアム・スペシャリティカーとしての“特別感”や“おもてなし装備”が足りないこと」にあると思っています。
具体的には、このような点がデビュー時から気になっていました。まずインテリアの仕立てです。基本レイアウトや操作系がシビック系のモデルと似ており、エクステリアに対して特別感が薄い印象があります。
また、600万円台のモデルながら、シートやステアリングの調整が手動であること。シートヒーターのみでシートベンチレーションが選べず、プレリュードの象徴でもあるサンルーフが未設定であることなど、装備類の“選択と集中”が激しいことです。
要するに、優雅なクーペライフを楽しみたいライト層や高級志向のユーザーに向けたクルマでありながら、「乗るたびに感じる特別感」「所有する優越感」「ラグジュアリーで快適な空間(広さではなく)」が少々足りていません。
もちろん、リソースの問題や収益性を考慮した結果だということは重々理解していますが、もう一歩踏み出してほしいのが本音です。
走りはかなり本気の仕立てであるだけに、これらの部分が「シビックの延長線上」にとどまっていることが、クーペとしての魅力に欠けるという評価に繋がっているのではないでしょうか。
























































































