“中国の刺客”BYD「ラッコ」VS“日本の国民車”ホンダ「N-BOX」“選ばれる”のはどっち? 最新「軽スーパーハイトワゴン」を比較
2026年7月に発売されたBYDのスーパーハイト軽ワゴンEV「ラッコ」と、同年7月にマイナーチェンジしたホンダ「N-BOX」。日本の軽自動車市場で注目される2台を乗り比べると、どのような違いがあるのでしょうか。今回はレースアンバサダーの赤城ありささんにも、女性ユーザーの視点から両車をチェックしてもらいました。
「高級感」のラッコ、「明るさ」のN-BOX
2026年7月、日本市場に投入された中国メーカーBYDの軽自動車「ラッコ」。
海外メーカーが日本独自規格の軽自動車を新たに開発・製造するということで、日本の自動車史においてもセンセーショナルなモデルとして話題を呼びました。
そんなラッコが目指したのは、「ガソリンの軽から乗り換えてもらえるモデル」です。
そこで今回は、軽自動車で最も売れているだけでなく、登録車を含めた乗用車全体でも高い人気を誇るホンダ「N-BOX」と比較してみることにしました。
BYDは、日本市場において「日本の目の肥えたユーザーに自動車メーカーとして認められることは、販売台数などのビジネス面以上の価値がある」と考え、国内で最も大きな市場のひとつである軽スーパーハイトワゴンに挑戦する決断をしました。
これまで日本市場におけるBYDはEVを中心に展開してきており、「新しいもの好き」のユーザーが購入している部分もありました。
しかし、ラッコは「ガソリンの軽がライバル」と掲げて開発されたモデル。それだけに、日本で高い人気を誇るN-BOXとの比較は避けられません。
今回、ラッコは最上級グレードの「300 Premium」を用意。現在、ラッコでもっとも売れているグレードです。
対するN-BOXは2026年7月に改良されたばかり。今回用意したのは「ファッションスタイル」と呼ばれるグレードで、中間グレードともいえる存在です。搭載されているエンジンは自然吸気エンジンとなっています。
N-BOXの売れ筋はカスタム系グレードであるため、売れ筋グレード同士の対決というわけではありません。
しかし、ファッションスタイルは、日本の軽自動車で近年トレンドとなっているポップな魅力をまとった仕様です。なお、N-BOXでは自然吸気エンジン搭載車の人気が高くなっています。
ちなみに、軽自動車ユーザーの約64%は女性です。今回は男性の筆者(西川昇吾)が真面目に比較レビューするだけでは面白くないので、ラリー参戦経験もあるレースアンバサダーの赤城ありささんにも「女性目線」で両車をチェックしてもらいました。

両車を単純に見比べると、「分かりやすい高級感」を感じさせるのはラッコで、「ポップで明るいクルマ」と感じさせるのはN-BOXです。
ラッコは合成皮革のシートを中心とした構成となっていて、質感も高く、高級車の王道ともいえる室内空間に仕上がっています。
対してN-BOXはファブリックシートで、「グレージュ×グレー」というカラーコーディネートを採用。明るい室内空間となっています。
ちなみに赤城さんは、「明るいインテリアが好印象なので、どちらが好きかといえばN-BOXです!」とのこと。
なお、今回試乗したラッコはブラックのインテリアでしたが、ブラック&ベージュのカラーコーディネートも選べるようになっています。
各種装備面を見ても同じです。ラッコはさまざまな日本の軽自動車をベンチマークとしただけあって、小物入れやドリンクホルダー、コンビニフックといった定番の便利アイテムはN-BOXに引けを取りません。
それに加えて、ホットカップホルダーやパワーシートなども装備されていて、「軽の利便性+高級車のアイテム」といった仕様になっています。
「軽でこんな装備が!?」と驚かされるのは、間違いなくラッコです。
走り比べて分かった「ラッコ」と「N-BOX」の違い
そして実際に両車を乗り比べてみると、そのキャラクターの違いはさらに明確でした。
単純に表すならば、「動力性能のラッコ、乗り心地のN-BOX」といった具合です。
EVであるラッコは、低速からトルクフルなモーターによる加速性能に優れていて、高速道路への合流も楽々です。

1200kgを超える車重は登場当初から話題となっていましたが、普通に走行しているぶんには、その重さがネガティブに感じられる場面はほとんどありません。
ただ、タイヤの差か、重たい車重を受け止めるサスペンションの仕様によるものか、ラッコは低速域の乗り心地でゴツゴツ感がやや感じられる印象でした。
生産拠点とサプライヤーの関係で現地生産のタイヤを装着していますが、日本の軽自動車サイズを長年作り続けてきた日本メーカーのタイヤならば、乗り心地の印象が変わるのか気になるところです。
そんなことを思いながらN-BOXに乗り換えてみると、こちらのほうが柔らかな乗り味で、多くの人が素直に「乗り心地が良い」と感じる仕上がりでした。
高速域ではラッコもさほど悪くない印象だったのですが、軽自動車が多く使用される街中の低速域での乗り心地は、今後のラッコの進化に期待したいポイントといえます。
ラッコを軽自動車の王道ともいえるN-BOXと比較してみると、細かく見れば今一歩と感じてしまうポイントもありますが、「初めて作った軽自動車」としてはかなり高い完成度だなと思わされました。
ベースの完成度が高いこと、そしてBYDのアップデート速度を考えると、今後どのような進化を遂げてくるのか楽しみな存在でもあります。
そして最後に、赤城さんに「率直にどちらが好き?」と聞いてみました。
「うーん……悩ましいですね。ホットカップホルダーや、細かくシートの位置調整がしやすいパワーシートは女子的にも嬉しい装備です。
でも、視界の良さなどから素直に『運転しやすい!』と感じたのはN-BOXでした。あと何より、N-BOXはシートベルトの色も含めてオシャレなカラーが選べるのが嬉しいですね! この2台だったら、僅かな差ですが私はN-BOX推しです!」
今後、ラッコが日本の軽自動車ユーザーの半分以上を占める女性からさらに支持を広げるには、ポップでキュートなカラーや仕様の追加も必要なのかもしれません。
ラッコとN-BOXの「ファッションスタイル」を赤城さんと見比べたからこその気づきが、そこにはありました。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。


























































































