高速道路で設置進む「ワイヤーロープ式防護柵」、その実力は? ガードレールも進化
ふだん何気なく目にするガードレールなどの防護柵にもさまざまな種類があり、新たなものも生まれています。最新型の防護柵は、見た目もシンプルで簡便な構造ですが、その「実力」はどれほどなのでしょうか。
支柱が折れてもロープでクルマを受け止められる
車両の逸脱防止や歩行者の保護などを目的に、道路の路肩や歩道との境界、中央分離帯などに設置される防護柵。一般的に「ガードレール」と呼ばれているものは、支柱に固い波型の板が取り付けられた「ビーム型防護柵」ですが、板ではなくパイプを横に渡した「ガードパイプ」や、鋼製ロープを使用した「ガードケーブル」、より堅固なコンクリート製防護柵などもあります。
そして近年、「ワイヤーロープ式防護柵」というものが新たに開発されています。これは、近年増加している高速道路の暫定2車線区間における安全対策として、国土交通省でも設置を推進しているもの。このような区間では従来、対面通行の中央分離帯にラバーポールのみが設置されているケースが多く、対向車線への飛び出し事故が多発していました。
既存の「ガードケーブル」とは異なる特徴があるという、この新開発のワイヤーロープ式防護柵。開発主体のひとつである寒地土木研究所(札幌市豊平区)に話を聞きました。
――ワイヤーロープ式はどのような点が優れているのでしょうか?
ひとつは、車両衝突時の衝撃緩和性に優れる点です。主にワイヤロープの引っ張りで、反対車線へ逸脱しようとする車両に抵抗するのですが、ガードレールと比べて支柱が細く、ぶつかったときには折れるものの、残ったワイヤーでクルマを受け止めることができます。大型車まで対応できる性能を念頭に開発しました。
また、狭い幅で設置できるのもメリットです。支柱の真ん中に5本のワイヤーロープを通しているので、ガードレールなどのように“表裏”もなく、支柱が立てられる幅さえあれば設置できます。