高速道路で設置進む「ワイヤーロープ式防護柵」、その実力は? ガードレールも進化
まだあるぞ! 進化系ガードレール
――事故が起きた場合は再設置することになるのでしょうか?
はい。しかし折れた支柱を新しいものに取り替えれば、既存のワイヤーを緊張し直すことで復旧できます。すべて人力で作業できますので、短時間での復旧が可能です。中央分離帯のガードレールなどは、いちど設置してしまうと上下線の行き来ができなくなりますが、このワイヤーロープ式ならば、ワイヤーロープを緩めて落とし、支柱を引き抜くことで行き来も可能になります。
――もともとなぜ開発したのでしょうか?
北海道の郊外道路などの2車線区間で、正面衝突事故が多かったことから開発しました。それが、国土交通省主導の暫定2車線高速道路における安全対策として着目されたのです。もちろん寒冷地だけでなく全国で使えます。
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寒地土木研究所によると、ワイヤーロープ式はガードレールなどの既存防護柵よりも設置費用が少なく、設置に必要な幅はわずか9cm。道路を拡幅する必要もないといいます。2017年から国土交通省がNEXCO3社の高速道路12路線、約113kmの区間に試行設置した結果、設置前に45件あった対向車線への飛び出し事故は1件に減少し、死傷事故はゼロとなったそうです。
試行設置を経て、国土交通省は2018年6月に暫定2車線高速道路へのワイヤーロープ式防護柵の本設置を決定しました。今後、暫定2車線で開通する土工区間には標準設置、開通済みの区間ではおおむね5年以内での設置を目指すとしています。
もうひとつ、最近注目されたガードレールがあります。韓国の企業ETIが開発した「ローラー式」ガードレールです。
これはかんたんにいうと、巨大なそろばんをガードレールにしたようなもの。樹脂製のローラーが、猛スピードでぶつかったクルマの衝撃を受け流します。同社が公開している実験映像では、クルマがガードレールにぶつかった際に細かな部品が飛び散ってはいたものの、ガードレールを突き破ることはなく、大型車でも道路側に跳ね返ってバランスを立て直していました。
この商品は韓国を含む複数の国で特許を取得しているといいます。もしかしたら日本でも、いずれ普及するかもしれません。
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