浜松〜長野“直結ルート”の「歴史的難所」まもなく開通! 「土砂崩れ頻発」で“挫折”経験も「4年がかりでトンネル貫通」 “世紀の難工事”の三遠南信道「青崩峠道路」完成近づく

静岡県と長野県の間を貫く「青崩峠トンネル」が、まもなく完成しそうです。

厳しい地質に阻まれた「難所ルート」 完成までもう秒読み段階

 静岡県と長野県の難所を貫く「青崩峠トンネル」が、まもなく完成を迎えます。
 
 どのようなトンネルで、開通したらどう便利になるのでしょうか。

 青崩峠トンネルは、浜松市の新東名から北上し、愛知県の東端を経由して長野県飯田市の中央道までをつなぐ約100kmの高規格道路「三遠南信道」の一部を構成しています。

 三遠南信道は、愛知の「三河」、静岡の「遠江」、そして長野の「南信」からそれぞれ取られたもので、JR飯田線と並行するように愛知と静岡の県境沿いを縦断する道路です。

 愛知・静岡と長野を結ぶルートとしてはかなり希少で、高速道路としては中央道があるものの、岐阜を経由する遠回りになります。しかも、途中にある岐阜・長野県境のトンネル「恵那山トンネル」は長大で、危険物積載車両は通行禁止で、下道を通るしかありません。

 その下道の選択肢は国道151号・152号・153号があるものの、153号は愛知県内の高速からひたすら遠く、中央道に近い遠回りです。

 残る151・152号も終始狭隘でクネクネ道が続き、日本有数の「酷道」としても知られるレベルです。大雨でしょっちゅう通行止めになり、落石により長らく不通となっている区間もあります。

青崩峠トンネル。2026年3月30日現在(撮影:くるまのニュース編集部)
青崩峠トンネル。2026年3月30日現在(撮影:くるまのニュース編集部)

 そこへ、クネクネを回避できるまともなルートとして機能するのが三遠南信道です。自動車専用道路(高規格道路)で大型車も通行でき、長野まで直結を果たします。

 現在、新東名の浜松いなさ北ICから飯田方面、飯田方面から浜松方面に向かって、少しずつ開通しており、2026年3月には長らくブツ切れとなっていた浜松いなさIC〜佐久間川合ICの28kmが開通し、愛知と静岡の両県の山岳地帯への往来がスムーズになりました。

 しかし、このなかで“難所”となっているのが、静岡・長野県境の「青崩峠」です。

 標高1082mの青崩峠は、日本を二分する最大級の断層「中央構造線」が走り、その急峻な地形の谷頭にあります。断層の活動は活発で地盤は非常にもろく、「青崩」の名称の通り、崖崩れが頻発しています。

 ちょうどそこを貫く152号はそういった過酷な条件に囲まれていることから、のっけから車道の敷設が諦められ、国道指定ながらもクルマが通行できない、いわゆる「点線国道」となっています。

 この青崩峠を迂回すべく、1990年代初頭には大枚をはたいて「草木トンネル」が完成しました。三遠南信道に含む予定の高規格道路として難工事を経て開通したものの、さらに先の区間「兵越峠」の厳しい地盤に悩まされ、結局はトンネルのみ高規格化し、失敗。

 一部では「日本のトンネル技術が敗退」とも称されました。

 2013年になると、4998mの長大トンネルで難所の青崩峠を突き抜ける「青崩峠道路」計画が事業化。2019年に「青崩峠トンネル」工事が着工。

 工事では度重なる崩落やトンネルの変形が発生し、たった数m掘削するだけで、トンネルに覆いかぶさる土圧の影響により、手前の100m近くが変形するなど、「掘っては修正」をひたすら繰り返す難工事でしたが、4年後の2023年5月26日に無事貫通を迎えました。

 貫通時、国土交通省の飯田国道事務所はその瞬間をSNSに投稿したところ、国道事務所の投稿としては異例ともいえる“バズリ”を記録し、「土木の勝利」として大きな話題になりました。

 さて、気になる進捗ですが、貫通から3年が経過し、徐々に最終段階に入りつつあります。

 2026年3月に現場を訪れた際は、トンネル内部をコンクリートで覆う「覆工」がすでに完成。路面を整える「インバート」などの作業も概ね完成しています。トンネル前後の取り付け道路も姿が見えています。

 2026年3月末の時点で、トンネル本体を含めた「青崩峠道路」全体の事業進捗率は91%に達しています。

 2026年5月の最新の進捗では、トンネル内部はほとんど完成で、残すのは舗装や照明工事などの最後の仕上げのみの状態です。今年度は舗装工事が行われます。

 現在のところ、開通めどについてはまだ発表されていませんが、もうまもなく開通予定についてアナウンスがありそうな段階です。

 ちなみに青崩峠道路の先、飯田市側は比較的線形がよく、現道の改良とともに「小嵐バイパス」を建設。そして完成済みの「程野IC〜喬木IC」区間に接続します。

 さらに先は伊那山地を抜けて中央道「飯田山本IC」に向かう「飯喬道路」で残っている東側7.5kmの「3工区」の工事が進行しています。

 あとは浜松側で残る「水窪佐久間道路」の開通を待てば、ようやく浜松と飯田が結ばれることになります。

 全線開通すれば、難所のために交流が少なかった三・遠・南信地域の交流が促進され、また周辺の温泉地など観光アクセスの向上や、災害に強い道路として緊急輸送で使えるなど、非常に大きな効果が期待されます。

【画像】超便利!? これが浜松〜長野直結ルートの“難所”三遠南信道「青崩峠道路」です!

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