レクサス「新型ES」まもなく発売! 従来の「コンサバモデル」から一変! 「新しい時代のセダン」を予感させる仕上がりに! 6月の“日本発売”前に米国で体感した印象は?
日本国内でも近々の発売が予定されているレクサスの新型ミドルサイズセダン「ES」。自動車研究家 山本シンヤ氏が米国試乗会で感じた印象をレポートします。
乗り味は相反する「骨太だけどエレガント」?
フットワークも、一見変わっていないようでいて全面刷新されています。骨格は形式上「TNGA GA-K」ですが、これまでの知見やノウハウをフィードバックした“第2世代”へと進化。さらに、BEVとHEVに兼用できる「マルチパスウェイプラットフォーム」となっています。
そのうえで、近年のレクサスが推進する「味磨き活動」で培ったボディ構造(フロント前端、フロア、リア後端部への補強など)が惜しみなく盛り込まれています。
サスペンションは、フロントがストラット、リアにはES初となるマルチリンク式を採用。日本仕様にはAVS(電子制御連続可変ダンパー)やDRS(後輪操舵)が採用される予定ですが、今回の北米仕様にはそれらの設定はありません。
開発者曰く「今回は、まずは“素”の良さを味わってください」とのことでした。

タイヤは、235/55R19サイズ(試乗車はブリヂストン「トゥランザ」、ダンロップ「eSPスポーツMAXX」)と、235/45R21サイズ(試乗車はミシュラン「eプライマシーAS」「プライマシー5エナジー」)を履いています。
その走りを一言で表現するならば「骨太だけどエレガント」です。一体それは何か。筆者(自動車研究家 山本シンヤ)が大好きな、「〇〇なのに△△」という、見事な二面性を持っているところです。
軽めのアシストで滑らかだけど芯の強さを感じる「ステアリングフィール」、穏やかだけど切り始めからスッとクルマが動く「応答性」、クルマの動きはゆっくりだけどしっかりコントロールされている「コーナリング姿勢」、4つのタイヤが路面をビターっと捉える接地性の高さがあるのに、クルマがより小さく/より軽く感じる一体感と手の内感との「バランス」など…。
レクサスが目指す「二律創生」が実現された走りに仕上がっているのです。
ここは基本素性を大きく高めたことと、レクサスの「味磨き活動」のフィードバックした強靭でしなやかな“体幹”あってのものでしょう。しかし、試乗していて感じたのは、クルマがそれを声高らかに主張せず、いい意味で“黒子”に徹していることです。
つまり、与えられた武器を性能に全振りせずに、あえて「ゆとり」と「余裕」に活用しているような走りなのです。基本はエレガントですが、ドライバーの操作やその時も気持ち、そして走る道やシーンに合わせてスポーティにも化ける…。そんな奥深いフットワークです。

ちなみにパワートレインによって乗り味は若干異なります。
FFのHEV(ES350h)はシリーズ中、最も車両重量が軽いので軽快なクルマの動きですが、ESのキャラクターを考えるともう少し落ち着きがあったほうがいいかなと感じたところ。
AWDのHEV(ES350h)とBEVのES350eは、軽快さと落ち着きのバランスが整っており、個人的にはESのなかでベストだと感じました。
ちなみにこの2台、パワートレイン/バッテリー含めた基本諸元は異なりますが、試乗するとほぼ同じ走り味/乗り味に仕上げられていて驚きました。従来であれば確実にBEV有利な乗り味になるはずです。
やはりTNGA GA-Kマルチパスウェイプラットフォームの“基本素性”と“懐の深さ”が効いているのでしょう。
そしてフラッグシップのES500eはDIRECT 4を搭載しているので、「他のモデルとは別格かな?」と思ったものの、コーナリング中に後輪がグッと押し出す感覚や旋回軸がより後ろにある印象ですが、基本はES350eの延長線上の走り味/乗り味でした。
良く言えば制御を感じさせない自然なフットワークと言えますが、個人的にはパワートレイン同様に、駆動方式の概念を覆すような走りで「お前はスポーツセダンでもあったのか?」というような、“裏の顔”があってもよかったな、と思いました。

乗り心地はどうでしょうか。今回の試乗コースは路面の凹凸や舗装の荒さなどになかなかの厳しい環境でしたが、カドの丸い入力、いなし効いた足の動き、人間の波長に合わせて僅かに時間をかけた吸収性、目線をブラさないフラット感などなど、「これならAVSなしでもいいのでは?」と思うくらいのレベルに達していました。
重箱の隅を突くと、細かな凹凸がお尻の辺りでブルブルと振動して残る感じはありますが、筆者の経験からこの辺りは日本仕様に採用されるAVSで何とかなるレベルだと思っています。
ちなみにタイヤによっても若干印象は異なり、19インチのトゥランザは乗り心地・静粛性は高いが初期応答は若干穏やか、eSPスポーツMAXXはハンドリングのレスポンス重視ですが、ロードノイズは高めの印象でした。
一方、21インチは19インチに対して入力の強さが若干あるものの、「比べれば」と言うレベル。ハンドリング・乗り心地・静粛性の総合バランスは、ベストだと感じました。
面白いのはミシュランのオールシーズンタイヤ(eプライマシーAS)とサマータイヤ(プライマシー5エナジー)での性能差はほとんど感じられなかった事です。改めてミシュランのトータルパフォーマンスの高さにビックリしました。
そろそろ結論に行きましょう。新型ESは、静かながらも強い主張が色濃く込められた「新時代のセダン」に仕上がっていました。
レクサスのモデルラインアップには様々な“役割”がありますが、LSは周りを明るく照らすリーダーであり、強さと明るさを持った“太陽”のような存在。対するESは静かに見守り、堅実で包容力の高い“月”のような存在だと筆者は考えています。
それがゆえにこれまでのESは良くも悪くも「コンサバ(保守的)」な印象が拭えませんでしたが、新型ESは違います。従来のセダンが持つ魅力はそのままに、今までのセダンにはない新たな付加価値を備えたモデルと言っていいと思います。
「セダンから逃げない」ーー。筆者はレクサスの新たな挑戦を応援したいと思います。そして日本のユーザーにもこう伝えたいです。「SUVもいいけど、いいセダンに再び乗ってみませんか?」と。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。






































































