ホンダ新型「N-BOX EV」登場へ! “5年ぶり全面刷新”と同時で「300万円級」の可能性も!? ダイハツ新「軽ハイブリッド」&BYD「ラッコ」とどう戦うのか?
ホンダが2028年に投入予定の「N-BOX EV」を巡り、軽自動車市場の競争環境が大きく変わろうとしています。ダイハツのハイブリッド勢やBYDの低価格EVが存在感を強める中、ホンダはどのような戦略で対抗するのでしょうか。自動車評論家の国沢光宏氏が分析します。
2028年登場の「N-BOX EV」は勝負できるのか
2026年5月14日に行われたホンダの「2026ビジネスアップデート」発表で、2028年に「N-BOX」の電気自動車を上市するとアナウンスされた。
これまで何度かウワサに上がっていたクルマだが、プラットフォームは「N-VAN」や「N-ONE」とほぼ同じため、2027年にも登場するのではないかと言われていた。逆に考えれば、2028年登場ということは、2023年発売の現行型から約5年ぶりのフルモデルチェンジと同時になるだろう。
時期を考えると、一段とややこしいことになってくる。というのも東京都では2030年から、電動化車両(フルハイブリッドを含む)でなければ新車登録できなくなるからだ。

実際、ダイハツはこの規制に合わせ、軽自動車用の2モーターハイブリッドを準備している。
2025年のジャパンモビリティショーにプロトタイプを出展していたが、驚くほどコンパクトだった。価格も販売価格ベースで20万円高程度を想定しているようだ。
実現すれば相当なインパクトを持つ。そもそもハイブリッドであれば、軽自動車の上限出力となる64馬力にすることだろう。
現在、64馬力はターボ車しか達成できておらず、価格も20万円高ほどだ。つまりハイブリッド車がターボ車と同じくらいの価格設定になるということ。
ここまで読んで、「軽自動車で20万円高は大きい」と突っ込みたくなる人もいるだろう。
確かにターボ車は20万円高い上、燃費だって悪い。普通に使うならターボなしで十分かもしれない。けれどハイブリッドとなれば燃費も良くなる。
今まで20km/L走っていたなら、30km/L以上走るということだ。ここにきて地方部ではガソリンスタンドの数も減ってきた。ガソリン25リッターで500km走れるのと、750km以上走れるのでは、燃料コストだけでなく実用性も違ってくる。
次のクルマに乗り換えるときのリセールバリューだって、ハイブリッドの方が20万円以上有利になることだろう。
総合して考えると、20万円高でハイブリッドを選べるなら、迷うことなく魅力的だということだ。
翻ってホンダを見ると、軽自動車用のハイブリッドは開発していないように思う。ウワサすらないからだ(開発期間が長いパワーユニットの情報は、けっこう漏れる)。
次期型N-BOXは電気自動車で、次期型「タント」のハイブリッドと勝負するつもりなのか。となれば競合車として浮上してくるのが、この夏にも発売されるBYD「ラッコ」だ。
「限りなく市販車に近いプロトタイプ」をじっくりチェックしてみたが、品質は驚くほど高い。
軽自動車というより、上質な普通車といったクオリティを持つ。例えばドア内側のボディが、外板と同じ塗装なのだ。
ラッコの電池容量は22kWh程度と34kWh程度。大容量モデルはN-BOXやN-VANの電気自動車(おそらくN-ONEと同じ30kWh)を容量で上回る。
しかもBYDは、長寿命で燃えにくいLFP電池を採用している。それでいて価格は、N-BOXの電気自動車より圧倒的に安いと思われる。
現在は電気自動車補助金で日本車の方が有利だが、2028年になれば、その優位性もなくなるかもしれない。
脅威なのは22kWhモデルの方で、補助金なしでも200万円を少し超える程度だと予想されている。
左右の電動スライドドアが標準装備されるなど、価格競争力は圧倒的だ。ヒンジドアのN-ONE e:の価格が270万円スタートだと考えると、N-BOXは300万円近くになるのではないだろうか。
テレビでも家電でも、ベーシックな価格帯には中国ブランドが容易に入ってくる。クルマも同じだと思う。
ということで国産勢にはダイハツという強いライバルがいるし(おそらくスズキもハイブリッドと電気自動車を出してくる)、BYDという黒船も待ち構えている。
中国は進化速度が圧倒的に違う。N-BOXの電気自動車が出る2028年には、たとえ弱点があったとしても改良されていることだろう。
そんな強敵を相手に、三部社長率いるホンダがどのような対抗策を打ち出してくるのか注目される。
実際、三部社長就任後に進められてきたプロジェクトの中には、計画変更や見直しを余儀なくされたものも少なくない。結果として、この2年間で多額の損失計上も発生している。
そうした状況を踏まえると、ダイハツやBYDと真正面から競争できる軽自動車をどこまで仕上げられるかが、ホンダの大きな課題と言えるだろう。
2028年にデビューするとされる次期型N-BOXの電気自動車は、かなり厳しい戦いになる可能性が高い。場合によっては、戦略そのものの見直しが必要になるかもしれない。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

























