プレミアムの表現はひとつじゃない!? “最新SUV”のプジョー「3008」&マツダ「CX-60」を実力検証! 見えてきたそれぞれの“違い”とは

マツダが「CX-60」をはじめとするラージ商品群でプレミアム領域へと舵を切る一方、プジョーは量販モデルでありながら独自性を追求し、その個性をさらに際立たせています。新型「3008」は、CセグメントSUVながらDセグメントに迫るサイズや進化したマイルドハイブリッドを採用。今回は、この2台を比較試乗し、その違いと実力を萩原秀輝氏がチェックします。

マツダが目指すプレミアムSUVとは

 DセグメントのSUVには、各国のメーカーから強豪モデルが投入されています。マツダも積極的な取り組みを実施し、3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボと駆動方式のベースをFRとするプラットフォームを新開発。ラージ商品群の第1弾として、2022年に「CX-60」を発表しています。

それぞれ異なるアプローチが際立つ2台(Photo:Daijiro Kori)
それぞれ異なるアプローチが際立つ2台(Photo:Daijiro Kori)

 ただ、クルマの重要機能を同時期に開発することは成功すれば偉業といえますが、そうはならず。CX-60は、多くの課題を残しての誕生となりました。

 それでも、継続的な進化を怠らないことはマツダの約束事。2024年にはマイナーチェンジを実施し、いくつかの課題を改善。さらに、今回の試乗には間に合いませんでしたが、2026年3月には安全装備などの充実を図っています。

 乗り込んだのは、「CX-60 XDハイブリッド プレミアムモダン」です。直列6気筒エンジンは、理論的にはゼロ振動となり優れた回転バランスが獲得できます。BMWの直列6気筒が、シルキーシックスの異名を誇れるのはそのため。もちろん、BMWには歴史に基づく進化の裏付けもありますが。

 まだ歴史が浅いCX-60のエンジンは、回転軸がまったくブレないような感覚を得るには至っていません。しかも、同時に新開発された8速ATを含む駆動系も低回転域の制御にギクシャク感を伴うなど、当初は荒削りな仕上がりでした。

CX-60 XDハイブリッド プレミアムモダンは直列6気筒ディーゼルの力強さを活かした骨太な走りが特徴(Photo:Daijiro Kori)
CX-60 XDハイブリッド プレミアムモダンは直列6気筒ディーゼルの力強さを活かした骨太な走りが特徴(Photo:Daijiro Kori)

 ところが、マイナーチェンジにより駆動系の洗練度が一気に向上。変速時の制御が自然になり、4輪への駆動配分の連携にも違和感を覚えません。それだけに、実はもともと備えていたエンジンの吹き上がりの滑らかさを引き出すことに。アクセルを踏み込むと、中高回転域でもエンジンに起因する振動は認められません。

 しかも、中回転域からはディーゼルとは思えない軽やかな音の鼓動感が聞こえてきます。そして、高回転域にかけて鼓動の密度が増して連続音を響かせ、5000回転に迫るまで到達。その臨場感により、加速のパワフルさが際立ちます。

 そのため、2024年に日本市場向けのラージ商品群の第2弾として投入された3列目席を備える快適性優先の「CX-80」と比べると、CX-60は当初から走りを重視していました。ただ、ヤリすぎ感があったことも事実です。

 サスペンションの設定がかなり引き締まっていたので、路面が荒れていると頭がグラつくようなボディの横揺れと縦揺れが強めに。そればかりか、前後や斜めの揺れを感じることもありました。マイナーチェンジにより、そうした印象は抑制されています。

 走りを重視していることは変わらず、エンジンのパワフルさを活用すればコーナーが連続する場面ではSUVであることを忘れてスポーティな走りが楽しめます。

 それでも、プレミアム系SUVのメルセデス・ベンツ「GLC」やBMW「X3」あたりに対しては肩を並べる域には達していません。特に、ボディの剛性感が物足りず、平滑に見える路面でもコツコツという微振動がフロアから気になることもあります。ザラついた路面通過時のゴーッというロードノイズも大きめです。きっと、マツダのことなので次のマイナーチェンジでは課題の改善に成功するでしょう。

個性を磨くフレンチSUVは“アリ”か?

 CX-60から始まったマツダのラージ商品群攻勢は、プレミアム化を志した取り組みとも言えます。マツダそのものではなく、ラインナップの体系を拡大しているわけです。

 その一方で、プジョーは個性を際立たせる独自路線。同グループのシトロエンはプレミアム系に位置付けられています。

3008GTハイブリッドはモーターアシストによる滑らかな加速と高い静粛性が印象的。市街地ではモーター主体の走行シーンも多い(Photo:Daijiro Kori)
3008GTハイブリッドはモーターアシストによる滑らかな加速と高い静粛性が印象的。市街地ではモーター主体の走行シーンも多い(Photo:Daijiro Kori)

 プジョーは量販を前提としていますが、個性化はますます加速中。2025年7月に日本市場に導入された新型「3008」もそう。CセグメントのSUVですが、ボディサイズは全長4565mm×全幅1895mm×全高1665mm。Dセグメントに迫る大きさで、CX-60(全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mm)と比べても全幅は実際に5mm広くなっています。

 エクステリアのデザインは、一目でプジョーとわかる特長を備えています。プジョーのアイコンであるライオンの爪痕をモチーフとするシグネチャーが、グリルの両側に3本ずつ入っています。テールランプについても、シグネチャーは爪痕がモチーフになっています。

 インテリアのデザインは、インストルメントパネルとドアトリムおよびセンタークラスターで連続感と立体感を際立たせています。上部をフラット化した小径ステアリングの上からメーター周りを見るiコクピットは、プジョー独自のレイアウト。インテリアの多くを布張りにしていることも、現代的なデザイン表現と言えるでしょう。

 シートのサイズが大きいことは、プジョーの伝統的な魅力です。大柄な男性でも、体をゆったりと支えてくれます。室内スペースが広く、後席の足元についてはCX-60を超えるほど。荷物スペースは、520リットルと広大とまでは言えません。

最新の3008は立体的なデザインとiコクピットによる独自のレイアウトが特徴。個性的で先進的な室内空間に仕上がっています(Photo:Daijiro Kori)
最新の3008は立体的なデザインとiコクピットによる独自のレイアウトが特徴。個性的で先進的な室内空間に仕上がっています(Photo:Daijiro Kori)

 試乗車の「3008 GTハイブリッド」は、1.2リッター直列3気筒ターボエンジンとモーターの組み合わせが大きな役割を果たしています。フランスとイタリアとアメリカの自動車メーカーが連合するステランティスでは、各モデルにこのユニットを積極的に投入。マイルドハイブリッドに位置付けられますが、モーターだけで走行をすることも可能なMHEVです。

 このユニットは進化を続け、先行投入されたモデルよりもモーターの出番が増えています。当初はペダルに触るような慎重なアクセル操作でも、エンジンがすぐに始動。一定速では、モーター走行ができるのは40km/hあたりまででした。

 3008は違います。市街地で周囲の流れに合わせるようなアクセル操作なら、モーターだけで発進。一定速では、60km/hあたりまでモーター走行ができることを確認。エンジンが始動しても連携が滑らかであり優れた静粛性を実現しているため、タコメーターを見ないと気づかないほどです。

 ただ、エンジンとモーターによるシステム出力は145psなので力強さの余裕を得るには至っていません。それでも、日常的にはユニットの役割に不満を感じることはないでしょう。

 プラットフォームは、新開発のステラミディアムを採用しています。その完成度はいきなり高く、ステアリングの手応えが軽めで切れ味も滑らか。乗り心地の快適さやロードノイズの抑制は、プレミアム化を志したCX-60よりも好印象でした。

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Writer: 萩原秀輝

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。在学中からフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、同時期にツーリングカー・レースにも参戦。豊富なクルマの知識とドライビング理論を活かし、自動車メーカーなどが主催する安全運転教育の講師を数多く務めた経験を持つ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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マツダ CX-60
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新車価格(税込)

383万円〜650万円

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