1.5リッターエンジン搭載で「400馬力以上」! BYD新型「シーライオン6」で世界遺産・高野山へ! 往復1200km級ロングランで見えた最新“PHEVの実力”とは

BYDの新型SUV「シーライオン6」は、日本市場向けBYD初のPHEV(プラグインハイブリッド)モデルとして登場しました。今回は横浜から和歌山県・高野山までのロングラン試乗を実施。往復1200km級の道のりを走り、その実力を確かめました。

満充電で1100km超え表示! 最新SUVとしての完成度は?

 2025年12月1日、日本市場に投入されるBYDのモデルでは初のPHEV(プラグインハイブリッド)として「シーライオン6」が発表されました。BYDといえば、先行して投入された4モデルがBEV(電気自動車)なのでパワーユニットの主力はそちらと思われがち。

 ですが、PHEVも得意としていて2008年に初投入。以来、多くのモデルを揃え累計で740万台(2025年10月現在)を販売。しかも、シーライオン6は発表してからの国内受注が1000台(2026年4月現在)を超えているというから驚いてしまいます。

横浜から高野山までの長距離移動でも、シーライオン6は快適性の高さを感じさせました
横浜から高野山までの長距離移動でも、シーライオン6は快適性の高さを感じさせました

 シーライオン6は、DセグメントのSUVです。BYDは、PHEVのシステムにDM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)を採用。搭載モデルは、“スーパーハイブリッド”と呼ばれています。何がスーパーなのかというと、主役はエンジンではなくモーターということ。エンジンは、多くの場面で発電のための役割を担います。

 今回は、実際のスーパーぶりを往復で1200kmに迫るロングラン試乗で確かめます。目的地は、和歌山県にある世界遺産の高野山。BYDがBEVの路線バスを納入しているので、その取材と試乗を兼ねています。報告は、近日中に。

 BYDオートジャパンがある横浜で試乗車を借り受け、まずはフロント駆動のFWD仕様に乗り込みます。メーターにはバッテリーの充電量が表示されほぼ満たされていたので、エンジンと合わせた航続距離は1100kmを超え発表値の1200kmに迫ります。

 走り始めると、モーターだけで駆動。最高出力は197馬力で最大トルクは300Nmに達するので、市街地から東名高速に入っても満足できる力強さが実感。足柄サービスエリアに向けて上り勾配が続いても、モーター走行を維持。

高速域でもシーライオン6は余裕ある走りを披露
高速域でもシーライオン6は余裕ある走りを披露

 1充電走行距離は、100kmと発表されていますが大袈裟ではなさそうです。エンジンが時々始動しますが、駆動はせず発電に徹しています。

 足柄サービスエリアで、航続距離は1060kmでバッテリーの充電量は41%ですからPHEVとしての実力は想像以上。量産PHEVを世界で初めて投入した、BYDならではといえます。エネルギー管理をセーブモードにしていたので、ロングランの累積燃費を重視してエンジンの出番を減らすオフにします。

 エネルギー管理は綿密になり、インストルメントパネル中央にある15.6インチの大型モニターにその分担が表示されます。勾配の変化に合わせて、上りではエンジンをモーターがアシストし下りでは発電。

 平坦で一定速度なら、エンジンで駆動することも多くなります。それでも、その管理は洗練度が極めて高くモニターの表示がなければエンジンが始動していることに気づかないほどです。

高野山の山道でAWD仕様も試す! 得られた驚きの加速感

 さて、シーライオン6は走りの洗練度はどうでしょうか。風切り音やタイヤが発するノイズは、最小限に抑制。乗り心地は、走り始めてすぐは路面によっては縦揺れが気になることも。ですが、フワつきが残ったりはせず慣れてしまいます。

 気になるのは、直進時に感じるステアリングの中立節度の物足りなさ。レーンチェンジを終えて直進に戻る際も、自らの操作で進路の修正が必要となることが少なくありません。

 また、カタログに記載はありませんが車線の中央を維持するレーンキープアシストを装備しています。その制御にクセがあり、車線の左寄りを走りたがることや路面の横断勾配に弱く進路がカーブの内側にズレることも。車線の内側の四角いドットが並んでいる場面では特にそうなので、日本の道路事情に合わせた熟成が必要でしょう。

高野山に向かう山道を走るBYD新型「シーライオン6」。PHEVらしい静かで力強い走りが印象的でした
高野山に向かう山道を走るBYD新型「シーライオン6」。PHEVらしい静かで力強い走りが印象的でした

 翌日は、標高が800mを超える高野山まで山岳路を駆け上がります。バッテリーの充電量の減りが大きくなるので、エンジンの回転数が上がりヴォーンという感じでウナリ音を発します。ただ、走りの洗練度を損なうほどではありません。

 コーナーが連続する場面では、ステアリングのアシストをスポーツからコンフォートに。重めの手応えが気にならず、切れ味が軽やかで応答性は素直。前後タイヤの接地バランスがよく、コーナリング中の安心感が増します。

 高野山でAWD仕様に乗り換えます。前後のモーターは、合わせて最高出力が408馬力で最大トルクは640Nm。エンジンはFWDと同じ1.5リッターの直列4気筒ですが、ターボチャージャーを備え最高出力は32.6馬力上乗せされ130馬力を発揮。

 走行モードをスポーツにして、アクセルをキックダウンスイッチまで踏み込むとモーターとエンジンの全力を引き出すことが可能に。その際の加速感はかなりパワフルで、高めの回転域を保つエンジンも迫力ある快音を発します。

高野山の成慶院でいただいたランチセット。ロングラン試乗の途中に味わうひとときです
高野山の成慶院でいただいたランチセット。ロングラン試乗の途中に味わうひとときです

 高野山を降り、後は横浜までロングラン。興味深いのは、累積の燃費で18.5km/Lを記録したこと。外部充電せずにハイブリッドとして得た数値なので、DセグメントのSUVとしては大満足。FWD仕様なら、もっと伸びるはずです。

 シーライオン6は、PHEVとしての実力がまさにスーパー。しかも、安全や運転支援に加えて快適装備がフルに揃っているのにFWD仕様の価格(消費税込)が398万2000円でAWD仕様が448万8000円と超お値打ち。たとえば、トヨタ「ハリアー」のPHEV(AWD)は装備が限定されるGでも547万300円ですからね。

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Writer: 萩原秀輝

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。在学中からフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、同時期にツーリングカー・レースにも参戦。豊富なクルマの知識とドライビング理論を活かし、自動車メーカーなどが主催する安全運転教育の講師を数多く務めた経験を持つ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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