新車購入ユーザーが本当に得してる? エコカー減税や補助金にメリットはあるのか
自動車ユーザーだけ多額の税金負担が続く税制でいいのか
国にとっては、元・道路特定財源をそのまま一般財源化したのですから、自由に使える高額の税金を獲得しています。
自動車業界にとっては、自動車を売る時の税金は減税により安くして、車種によっては補助金まで交付されるのですから、販売促進の効果が大きいです。たとえ自動車の税金が高額でも、購入時に減税や補助金を受けられれば、売れ行きにあまり悪影響を与えません。
問題はユーザーの利益です。エコカー減税が免税になるハイブリッド車を選べば、確かに購入時の税金はほとんど支払わずに済みます。3月購入を除いて、自動車税を月割りで納める程度です。
ところが購入後は、自動車税、元・道路特定財源の自動車重量税を徴収され、ガソリンも価格の半額近くが元・道路特定財源の税金です。自動車のユーザーだけが、多額の税金を負担し続ける仕組みになっています。
従って自動車税制の再構築が求められています。その際にはエコカー減税の考え方とは逆に、新車購入時の税金を増やし、購入後の税金を少額に抑えることが重要です。13年を超えた自動車の増税(重課)などは論外です。今は自動車が生活必需品になり、長い間、古い自動車を使って通院や買い物をしている人達も多いからです。クルマを使う段階の税金を安く抑える必要があります。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。