ダイハツの「“本格”軽トラ」! 地上高370mm&パートタイム4WD採用! カクカクデザインもイイ「究極オフローダー」マッドマスターCとは
軽自動車の枠を超えた圧倒的な走破性と、プロツールとしての機能性を凝縮したダイハツのコンセプトカーがありました。山道を突き進むために開発された一台は、いったいどのような中身だったのでしょうか?
軽の枠を超えた走破性! 山を制するために生まれたプロの道具
ダイハツはかつて、軽自動車のコンパクトなボディに、道なき道を突き進むための圧倒的な走破性と実用性を凝縮した、究極のオフロード・スモールを提案していました。
山岳地帯での活動をサポートするプロツールとしての機能美を追求した一台の姿は、当時のモーターショー会場で大きな注目を集めることとなります。
その革新的なモデルの名は、「Mud Master-C(マッドマスターC)」です。
マッドマスターCの開発の背景には、サイクルスポーツ界を代表する鈴木雷太氏との共同企画による、マウンテンバイクサポートモデルという成り立ちがありました。
この独創的な一台は、2007年10月に開催された第40回東京モーターショーにて世界初公開されました。
過酷なコースを転戦するライダーの拠点となる、タフでコンパクトなトランスポーターが具現化されたのです。プロの要望に応える本物の性能を追求したこのモデルは、単なるショーモデルにとどまらない説得力を放っていました。
最大のトピックは、軽自動車の常識を遥かに凌駕する地上高の高さにあります。
ドライブシャフトとハブの接続部分にギヤを組み込んだ「ハブリダクションシステム」を採用し、大径16インチオフロードタイヤとあわせて370mmの最低地上高を確保していました。これは、一般的な軽トラ(160mm〜180mm程度)の約2倍強にあたる370mmという驚異的な数値です。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1600mm×全高1960mmで、全高は2m近い迫力あるシルエットを備えていました。小ささと軽さが生み出す高い走破性に加え、軽量・コンパクトなフレーム付ボディによる高い耐久性と積載性も特徴でした。
外観は、無骨で力強いデザインが貫かれています。大径の16インチホイールには専用のマッドテレーンタイヤが装着され、深い泥道でも確実なトラクションを発揮。
荷室へのアクセスには、左右および後方の3方向に大きく開くガルウィングドアを採用していました。これにより、狭い場所でも効率的な積み降ろしが可能です。

インテリアもまた、プロの道具としての潔さが際立っています。無駄を削ぎ落としたシンプルなダッシュボードや、汚れを気にせず使えるタフな素材を使用したシートなど、実用性を最優先した設計がなされていました。
荷室にはマウンテンバイクを2台、分解することなくそのまま車載できる広大なスペースが確保されています。
また、乗降性を高めるドア連動オートステップも備え、実用性にも配慮されていました。細部にわたるこだわりは、まさにプロの道具と呼ぶにふさわしい仕上がりだったのです。
パワートレインには660ccエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTを採用。駆動方式にはHi/Lo切替付きのパートタイム4WDシステムが組み合わされていました。
低速域でのトルクを重視したセッティングにより、急勾配やぬかるみでも力強い走りを披露することが想定されていました。
マッドマスターC そのものが、展示された姿のまま市販化されることはありませんでした。
しかし、2007年の初公開から現在に至るまで直接的な市販モデルこそ登場していないものの、キャンプなどのアウトドアレジャーが一般化した昨今では、かつて商用ニーズがメインであった小型トラックや商用バンが、趣味のベース車として一般ユーザーにも選ばれるようになっています。
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マッドマスターCは、軽自動車にプロツールの真髄と冒険心を融合させた、稀代のコンセプトカーでした。
究極の走破性能を小さなボディに詰め込み、特定のユーザー層に向けた強烈なメッセージを放った同車は、ダイハツの技術力と遊び心を象徴する、歴史に残る一台だったといえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。


















