新車約89万円! スズキの「超・お手頃ミニバン」が魅力的! ほぼ「軽サイズ」なのに6人乗れる! シンプル装備で割り切った「イーコ」インドモデルは今注目したい1台
とっくの昔に日本で販売終了になったモデルが、海外で今も現役で新車販売されているケースがあります。そのひとつがスズキ「イーコ」です。
日本では20年前に販売が終了…でもインドでは大人気!
日本ではすでに販売が終わっているモデルでも、海外ではまだ販売されていて、しかも根強い人気を誇るクルマは少なくありません。
そのひとつが、スズキがインドで販売するベストセラーミニバンの「イーコ」です。どのようなクルマなのでしょうか。
スズキはインドに「マルチ・スズキ・インディア(MARUTI SUZUKI INDIA)」という子会社を持っており、インド市場で約4割という圧倒的なシェアを有しています。
その歴史は、日本における初代「アルト」を「マルチ800」として、翌年からは初代「エブリイ」を「オムニ」として現地生産を開始した1983年まで遡ります。
マルチ800とオムニはどちらも国民車的存在となり、インドのモータリゼーションを大きく進展させました。
中でも商用車として生活を支えたオムニは、2019年に生産を終えるまで実に35年間にわたり、一度もモデルチェンジを迎えることなく販売されたことで知られています。
一方、オムニと並行して用意された小型バンに、日本の「エブリイ+(エブリイプラス、のちに「エブリイランディ」に改称)」をベースに、2001年から発売を始めた「バーサ(Versa)」も存在しました。
ベースのエブリイランディは、4代目エブリイ(10代目「キャリイ」)を延長・拡大したボディに、1298ccの「G13B型」エンジンを積んだ小型ミニバンで、軽自動車と異なり3列シートを置き7人乗りを可能としていました。
その後ヴァーサは、2010年に内外装デザインのアップデートを受けて車名も「イーコ(EECO)」に変更。搭載エンジンも1196ccの「G12B型」に換装されています。

イーコは商用バン・5人乗り/7人乗り乗用モデル・タクシーモデル・救急車など豊富なバリエーションを展開。設計も質素で価格もリーズナブルだったため、オムニと同様に、大ヒットを記録しました。
そして2022年の改良では、エンジンを1197ccマルチジェットの「K12B型」に載せ替えてさらなる燃費改善を実現。デジタルメーターやデュアルエアバッグも標準装備するようになりました。
発売から15年を迎えた2025年には、7人乗りの乗用モデルを2列目にキャプテンシートを備えた6人乗りに変更したほか、エアバッグを6個に増強、シートベルトプリテンショナー・フォースリミッターを備えた3点シートベルトを全席装備、EBD(電子制御制動力分配システム)付きABSを装着するなど安全面を大幅に追加しました。
とはいえ、5速マニュアルトランスミッションのみ、優れた燃費と充分な性能、バンパーは黒い樹脂のままで内外装は現代の基準からすると極めて質素。車重も1tほど、タイヤは廉価な13インチ、というイーコのシンプルさは失われていません。
バリエーションも依然充実しており、2人乗りの商用モデル「イーコカーゴ」ではカーゴ/カーゴCNG/カーゴCNG AC(エアコン)の3種類、5/6人乗りの「イーコ」には5人乗りスタンダード/6人乗りスタンダード/5人乗りACなど4種類、タクシー用に「イーコ ツアーV」の5人乗り/6人乗りなど4種類、救急車用の「アンビュランス」が2種類の、計13種類をラインアップします。
価格も従来通りに抑えられており、最安値のイーコの5人乗りスタンダードでは、52万900インドルピー(約89万円・2026年4月上旬現在)から購入することが可能です。
このクラスにおけるイーコのシェアは驚異の9割超えを達成していますが、装備・性能・価格のバランスに優れたイーコは、今後もインド市場でのベストセラーの座を譲り続けることでしょう。
なおイーコはインド以外の国々でも販売が行われています。またインドは日本と同じ右ハンドル・左側通行であることから、過去から現在に至るまで「バレーノ」や「ジムニー5ドア(ジムニーノマド)」、「フロンクス」などのマルチ・スズキ製のクルマも上陸しているなど、実は遠い国の話ではありません。
そうなると、シンプルさがむしろ魅力的なイーコも日本に上陸したら、と夢も膨らみます。
実際には、先進運転支援システムの装備が必須となるなど、安全面の観点からイーコ導入のハードルは高いのが実情で、価格もインドほどの廉価とはいきません。
しかしもし販売した場合、軽自動車ベースのコンパクトな多人数乗りミニバンが存在しない現在の日本市場で、大きな注目を集めるかもしれません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。












































