ついにランエボ終焉… 23年の歴史上、最高のスーパーセダンとなったランエボX

2007年、三菱自動車は「ランサーエボリューションX」を発売しました。強化したボディに、最高出力280PS、最大トルク43.0kgを発揮する新開発のエンジンを搭載。そして、ランエボ終焉へ向けてカウントダウンが始まりました。

新開発のデバイス満載となったエボX

スティーブ・ジョブズが初代『iPhone』のプレゼンで大絶賛された2007年、三菱自動車は「ギャランフォルティス」(海外での名称はランサー)をベースに「ランサーエボリューションX」(以下:エボX)を発売しました。

ランサーエボリューションX

 エボXは、剛性を高めた新設計のボディに、最高出力280PS、最大トルク43.0kg-mを発揮する軽量・高出力の新開発2リッター4気筒4B11型ターボエンジンを搭載しました。

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 第4世代のランサーエボリューションで特徴的なのは、従来までの6速MTに代わり、6速ツインクラッチSST(ツインクラッチ・スポーツシフト・トランスミッション)を採用したことで、クラッチペダルを持たず自動変速モードを有していたために、ハンドルとブレーキに集中できる高度なスポーツドライビングが可能になったことです。もちろんイージードライブもでき『AT限定免許』の方も運転できます。

 駆動方式も新開発の車両運動統合制御システム「S-AWC」と呼ばれる新たな4WDシステムを採用。ACD(アクティブセンターデファレンシャル)で前後駆動力配分をおこない、フロントはヘリカルLSDを装着、リアはデフブレーキを内蔵したAYC(アクティブヨーコントロール)デファレンシャルで左右の動力配分を制御します。

 4輪の駆動力・制動力の統合制御により、積極的に曲がる4WDを実現しました。気象条件などの様々な走行状況下でもドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現しました。

最初のマイナーチェンジで300PSに到達!

 発売からわずか11ヶ月後の2008年10月、エボXはマイナーチェンジにより、最高出力は300PSに到達。ライバル車に追いつくことになります。また“To The Premium Driving”と称した新グレード「GSR-Premium」を追加。本革製レカロシート、HDDナビゲーション、BBS社製ホイールなどを標準装備した高級感あるグレードです。

 2010年10月には「平成17年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)」に適合しながらも、さまざまな改良により加速時のレスポンスや燃費を向上。6速ツインクラッチSST車は減速時のスキップシフト(例:4速から2速へのシフトダウンなど)を可能にし、ドライバーのフィーリングにあった変速が行なえるようになっています。

 2011年10月のマイナーチェンジでは、安全性向上のためブレーキオーバーライド制御を全車に採用し、アクセルとブレーキを同時に踏んだ場合にブレーキを優先するような仕組みになっています。

最後のランエボ ファイナルエディションの登場

 2014年3月、三菱自動車は4世代続いた「ランサーエボリューション」の生産を完全に終了することを発表。同年12月に6速ツインクラッチSST車の生産を終了、2015年8月に5MT車の生産を終了し、ランサーエボリューションの歴史が幕を閉じることになりました。

ランサーエボリューション ファイナルエディション

 2015年4月には、エボXの最後を飾る特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」を限定1000台で発売します。“ファイナルエディション”に相応しい装備として、BBS社製18インチ鍛造軽量アルミホイールやRECARO社製レザーシートを装着するとともに、チューニングされたエンジンにより最高出力313PS/6500rpm、最大トルク43.7kg-m/3500rpmとシリーズ最高のパワーを誇りました。

 23年と永きに渡って続いたランサーエボリューションの歴史は、最後にして最高の出力を持つ「ファイナルエディション」で幕を閉じました。ラリーで勝つために誕生したランエボはさまざまな戦績を残し、まさに記録にも記憶にも残るスーパーセダンとして愛された一台です。
 
【了】

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