わずか3車に託された軽バン業界 再編された軽4ナンバー車の内情とは?
いま日本で売られているクルマのベストセラーは軽自動車ですが、軽市場で影の人気車があるのはあまり知られていません。それは働くクルマ商用車です。そんな商用車も大きく分けて3車しかないってご存知でしたか?
働くクルマ 軽バンは影の人気車だった!?
2017年度(2017年4月から2018年3月)に売られた新車の内、軽自動車の販売比率が36%に達しました。軽乗用車の販売ランキングは、1位がホンダN-BOX&同スラッシュ(1か月平均で1万8620台)、2位はダイハツムーヴ&同キャンバス(1万2137台)、3位は日産デイズ&同ルークス(1万1375台)、4位はダイハツタント(1万1221台)という具合です。
いずれも知名度が高く、所有されている方もおられるでしょう。ところが販売ランキングの数字にあらわれにくい、影の人気車もあります。それがキャブオーバーバンと呼ばれる4ナンバー車として届け出される軽商用バンです。
販売の首位はスズキエブリイで、バン仕様は2017年度に1か月平均で6236台、5ナンバー車のワゴン仕様は1394台を販売して、合計7630台になります。さらにエブリイ&同ワゴンは、マツダスクラムバン&ワゴン、日産NV100クリッパー&同リオ、三菱ミニキャブバン&タウンボックスとして、3つのメーカーにOEM(Original Equipment Manufacturerの略:他社で製造した製品を自社ブランドで販売すること)供給されています。
スズキを含めれば、国産乗用車メーカー8社の内、4社が基本的に共通のエブリイシリーズを扱っています。そしてこれらのOEM車まで含めたエブリイシリーズの台数を合計すると、2017年度の1か月平均は1万2139台でした。この販売実績は、軽乗用車の販売ランキングで2位に入ったムーヴ&同キャンバス(OEM車のスバルステラを加えて1か月平均で1万2704台)とほぼ同じです。
エブリイのライバル車にはダイハツハイゼットカーゴがあり、5ナンバー車のアトレーワゴンも設定されています。ハイゼットカーゴ&アトレーワゴンも、スバルサンバーバン&ディアスワゴン、トヨタピクシスバンとして供給され、ダイハツを含めて3社が扱います。
このOEM車まで含めたハイゼットカーゴシリーズ全体の売れ行きは、2017年度の1か月平均が7087台でした。1万2139台のエブリイシリーズに比べると少ないですが、軽乗用車でいえば、スズキアルト&同ラパン+マツダキャロルと同程度の台数です。