わずか3車に託された軽バン業界 再編された軽4ナンバー車の内情とは?
OEMネットワークで生き残りにかける
このOEM関係は、かつての日本メーカー同士の業務提携を連想させます。従来の常識では、主な市場が似通った日本メーカー同士が手を結んでもメリットが乏しく、海外メーカーと提携することが多かったです。それが最近は電動化などの環境技術、自動運転、通信機能などの先進技術開発が求められ、1960年代のように日本メーカー同士の提携が再び活発化しています。
その縮図が軽商用車です。ハイゼットカーゴシリーズを扱う「ダイハツ+トヨタ+スバル」は、ダイハツがトヨタの100%出資に基づく完全子会社になり、スバルに対しても出資しています。
エブリイシリーズを売る「スズキ+マツダ+日産+三菱」は状況が変わってきました。トヨタがマツダの株式を取得して、なおかつスズキとも提携することにより、インドのビジネスなどで協力関係を築いています。エブリイシリーズを売るスズキ+マツダ+日産+三菱の内、スズキとマツダはトヨタのグループに入りつつあります。そうなればトヨタを含めた「5社提携」が成立します。
一方、日産は三菱に出資しており、両社は軽自動車などの開発を行う合弁会社のNMKVも立ち上げて、ルノーを含めて提携を結んでいます。
このような軽商用車のOEMネットワークが発達した理由は、環境技術や自動運転技術に基づく提携と基本的に同じです。開発や生産のコストが高額で1社が単独で行うには負担が大きく、複数メーカーが協力するようになりました。
軽自動車はもともと薄利多売の商品で、開発や製造コストが高い割に価格は安く抑えねばなりません。そして軽商用車は、大きな荷物も運ぶので、広い荷室が必要です。重い荷物を積んだ状態で、滑りやすい雪上の坂道発進をするには、荷重の加わる後輪を駆動することも求められます。
そうなると乗用車とはプラットフォームが異なる専用設計になり、薄利多売による大量生産に応じるには、OEM車にしないと利益が出ません。そこで軽商用車は先進技術と同様、2大勢力に分かれたのです。この2大勢力に挟まれながら、弧軍奮闘するのがホンダです。