FF車世界最速のホンダ「シビック タイプR」 心揺さぶられる赤バッジを改めて試乗で確認

過去のタイプRを知る人には物足りないかも?

 乗り心地も優しいとおもえます。シビックタイプRは電子制御サスペンションを始め、ステアリングやミッションやエンジン制御等が、好みにより3段階でチョイスすることができます。乗り心地のいい「コンフォート」モードでは優しい乗り味に終始します。もっともハードな「+R」はニュルブルクリンクで最速を叩き出した仕様ですが、それでも閉口するような乗り心地の悪さはありませんでした。

乗り心地も優しいシビック タイプR

 もともとが軽量ボディであり、パワーは十分すぎるほど備わっています。レーシングカーのようにガチガチにしなくても、早く走れるのでしょう。いい車とはそういうものです。優しいとか激辛ではないと言った感覚的な表現は、人によって受け取り方が異なるはずですがリポートとは難しいものです。

 かつての激辛シビックタイプRを知るものにはとてもマイルドな感覚だと言えるでしょう。触れるだけで火傷をしそうなあの感覚が良かったというのなら、ちょっと物足りないかもしれません。

 ただ、最近の乗用車に慣れた人には、この激しい走り味は激辛に思うかもしれません。世界最速なのですから、もちろん軟弱であるわけもありません。

 つまり、きわめて現代的に味つけされているのがシビックタイプRだといえるのです。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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