対物賠償保険とは?補償内容から車両保険との違いまでわかりやすく解説

自損事故であれ相手のいる事故であれ、事故が起これば必ず物的損害が生じるものです。また、その部分の損害額は、思いもよらないほど高額になるケースもあります。そんなもしもの場合に有効な対物賠償保険には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか?今回は、対物賠償保険の補償内容や車両保険との違いをはじめ、支払われる金額などについて詳しく解説します。

「対物賠償保険」とは?車両保険との違いは?

 対物賠償保険とは、自動車搭乗時に起こした事故の損害を補償してくれる保険のことです。周囲の損害が対象であり、相手の自動車の破損をはじめ、事故で損害を被った公共物や他者の家屋・所有物といった財物全てが対象となります。

 相手自動車だけでなく、周囲の財物まで巻き込んだ事故の損害額は多額に及ぶ場合もあります。特に、営利活動に大きく影響を及ぼすような事故であれば、数億円の損害となる場合もあるのです。

 実際に、電車を巻き込んだ事故により、逸失利益を加えた113,470,000円の損害額が認定された事例もあります。このようなケースは稀ではありますが、仮に保険に加入していなければ全て自己負担することになるため、その重要性は明白でしょう。

 ちなみに、対物賠償保険の加入割合は、全国で約75%となっております(2020年時点)。なお、自動車共済を含めれば、9割ほどの人が加入しているようです。

 そのほか、多額の損害額となる場合がある点や、20,000,000円が上限のプランと保険料にさほど差がない点で、加入者の9割以上で無制限のプランが選ばれています。

車両保険との違い

 自動車保険の物的損害に対する保険には、車両保険というものもあります。車両保険も事故による自動車の損害が補償対象となるものの、対物賠償保険とは明確に異なる部分が見られるのです。

 具体的にいえば、対物賠償保険の場合は自動車のみならず周囲の財物の損害も補償対象となる一方で、車両保険の場合は自動車の損害のみが補償対象となる点に違いがあります。

 また、車両保険で補償がなされるのは、自身の自動車が負った損害部分のみとなります。つまり、双方は一見似ているようで、根本的に異なる保険なのです。

 そのため、対物賠償保険と一緒に加入していても何も問題はありません。むしろ、事故によって、自身の自動車が大きな損害を負った場合には心強い存在になるでしょう。

 なお、車両保険の加入率は2020年時点で約45%となっております。自身の損害のみが対象となる点で、中古車などの場合においては受け取れる保険金が少なくなるため、加入割合はそれほど高くはないようです。

 とはいえ、事故の過失割合に関係なく保険金を受け取れるほか、自損事故も補償対象となるメリットもあるため、新車や高級車を利用しているのであれば加入しておいて損はないでしょう。

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「対物賠償保険」の補償範囲は?どこまで含まれる?

 補償対象となるのは、被保険自動車の事故における相手自動車の破損をはじめ、ガードレール・信号機・電柱などの公共物、個人の家屋や所有物の損害です。

 そのため、例えば複数台が絡む事故を起こし、自動車・公共物・家屋を傷つけてしまった場合でも、その全ての損害に対する補償を受けることが可能です。

 また、上記に挙げた直接損害に限らず、代車費用や営利団体の臨時休業に際する逸失利益などの間接損害も対象となり、さらには自動車同士の事故でなくとも、ハンドル操作やアクセル・ブレーキの踏み間違えによる自損事故でも補償が適用されます。

 したがって、例えば店舗の駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違え、店舗に衝突してしまった場合も対象となり、店舗側の修理費や逸失利益を補償してくれるのです。

 そのほか、周囲の損害に対する補償であることから、自身の状態にも関係はありません。たとえ、飲酒運転によって生じた事故であっても、故意でない限りその損害部分も補償の対象となります。

 ただ、補償対象はあくまでも他者所有の財物に限られるため、自身が保有する車庫などの損害の補償は受けられません。

 当然、人身傷害についても対象外であり、この部分に関してはまた別の自動車保険に加入する必要があります。


根岸 潤
対物賠償保険は、他人の財物に与えた損傷を補償するものです。財物は所有物だけでなく、他人が使用や管理している物も含みます。また、操作ミスでの自損事故でも、他人の財物を傷つけたのであれば補償対象です。ちなみにペットなど動物は、命ある生きものですが人間ではないため、事故で死傷させてしまった場合は「対人賠償」ではなく「対物賠償」で補償することになります。

「対物賠償保険」では不十分?「対物超過特約」って何?

 前述の通り、受けられる補償は時価額の損害分のみとなります。そのため、無制限プランであっても、対象の損害額全てが補償されるとは限りません。

 例えば、実際の損害額が1,000,000円だったとしても、時価額の修理費用が800,000円であれば残りの200,000円の部分については相手の自己負担となります。これは法律上、賠償請求できる範囲が時価額に沿った損害額に限られるためです。

 ただし、対物超過特約が付帯している場合はこの限りではありません。

 対物超過特約とは、相手自動車の時価額における修理費用の超過分を補償してくれる付帯サービスのことです。対物賠償保険とともに加入していれば、実際の損害額が1,000,000円で時価額が800,000円だった場合でも、差額を含めた全ての金額に対する補償が受けられます。

 古い自動車や高級車の修理など、修理費用が時価額を大きく上回ってしまうケースは少なくありません。時価額を超える部分の賠償義務はありませんが、相手の負担を減らしたり示談交渉をスムーズに行えたりするなどのメリットもあるので、しっかり考慮した上で付帯するか否かを決めると良いでしょう。


根岸 潤
実際には、対物賠償保険に対物超過修理費用特約が自動セットされている商品が大多数なので、この補償も付帯するかどうかを考える必要はないかもしれません。なお、対物超過補償付きでも、修理費と時価額の差額全額ではなく過失割合に応じての支払いとなること、また1事故当たりの支払い限度額がある点に注意しましょう。

「対物賠償保険」が支払われないケースとは?

 対物賠償保険が支払われないケースには、主に下記が挙げられます。

・保険契約者、記名被保険者などの故意の事故で生じた損害
・戦争、内乱、暴動などの異常事態が原因で生じた損害
・地震、噴火またはこれらを起因とする津波が原因で生じた損害
・台風、洪水、高潮が原因で生じた損害
・被保険自動車の競技や曲技もしくは試験使用、または競技や曲技もしくは試験が目的の場所での使用が原因で生じた損害
・記名被保険者、被保険者またはその父母や配偶者もしくは子、被保険自動車の運転者または父母や配偶者もしくは子が所有、使用、管理する財物の破損や汚損による損害

 例えば、被保険自動車を運転する人の故意によって起きた事故と判断された場合は、被害者がどれほど損害を被ったとしても保険金は支払われません。


根岸 潤
対物賠償保険も、加害者の過失が原因で起きた事故の被害について補償するものです。加害者が故意に引き起こした事故や、車の所有者や運転者には何ら責任のない自然災害、戦争などの異常事態に起因するものは対象外。また、被保険者や運転者本人、およびそれらの配偶者、本人または配偶者の同居の父母・子供が所有や管理する財物については補償されない点も、対人賠責と同様です。

まとめ

 対物賠償保険は、事故による周囲の損害を補償してくれる保険です。あらゆる物的損害に対応し、さらに直接損害だけでなく逸失利益などの間接損害も対象となっています。

 事故は、往々にして周囲に大きな被害をもたらすものです。そして、被害が大きければ大きいほど、当事者が負担する賠償額も高額になります。

※契約の詳細や支払い条件などは、保険会社によって異なる部分があります。詳細については、契約中・契約予定の保険商品の必ず「パンフレット」、「契約概要」、「注意喚起情報」、「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認下さい。

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FP2級、行政書士、トータル・ライフ・プランナー、損害保険プランナー

根岸 潤

一橋大学卒。株式会社ファシオ・コンサルティング ソリューション事業部 マネージャー。保険クリニック飯田橋店 店長。大手出版社、法律系事務所、メガバンクのコールセンターなどの仕事を経て保険業界へ。その多彩な経験を活かしながら、ファイナンシャルプランナーとして多くのお客様からの生損保の相談やライフプラン設計に携わっている。

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自動車保険の口コミと評判

  • アクサダイレクト

    • 30代・女性
      トヨタ プリウス

      以前加入していた大手保険会社よりも3割くらい安かったのと、事故時の対応の早さに利点を感じました。後ろからぶつけられた事故があったのですが、私も走行していた為2:8の過失になると警察の方からも想定されましたが、結果1.5:8.5に割合が減りました。お相手の方への連絡も早かったようで、ストレスなく終えることが出来ました。

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  • ソニー損害保険

    • 30代・男性
      トヨタ ウィッシュ

      1年間の走行距離により年間の保険料金が決まるしくみで、元々の予定走行距離を万が一超えてしまった場合でも高額な追加料金等は発生しないため、安心して利用することができます。変化の激しいライフスタイルで一年前に立てた計画とは大幅に変化することが当たり前の時代となったため、予定走行距を超えた際の安心感で利用をしています。

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  • イーデザイン損害保険

    • 40代・男性
      トヨタ アクア

      私の場合は事故当日の初期対応時間が長いことと弁護士特約が全員にセットされているので、もらい事故で車両保険を使っても等級に影響しないことが決め手でした。またインターネット割引が2年目以降もグリーンの免許証でもブルーの免許証と同じ保険料で割高にならないことが満足点だと思います。

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  • セゾン自動車火災保険

    • 40代・男性
      三菱 デリカD:5

      普段は車通勤ではなく自転車通勤であること、家族も自転車の使用が多いので、特約の中に自転車事故に対する補償が入っているものを探していた。また、個人損害賠償保険の特約もあったので、それが比較的安価で加入することができたのが、この保険に決めた大きな理由です。

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  • 東京海上日動火災保険

    • 50代・男性
      レクサス GS

      私が20代の頃に車を始めて買い、その時に加入した自動車保険を今まで引き続いて契約しており、きめ細やかなサービスを気に入っています。例えばふとした疑問について問い合わせをすると、調査してくれたうえで必ず正確な情報を迅速に提供してくれます。また忘れてしまいそうになる更新時期には必ず電話連絡をしてくれますので安心です。

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  • SBI損害保険

    • 60代以上・男性
      トヨタ CH-R

      以前は国産の大手保険会社に代理店を通して契約してましたが、家庭の3台の自動車保険契約で年間約30万円でしたが、SBIのオンライン見積もりの結果、補償内容もあまり変わらないのに、約半分の保険料になったので迷わず契約しました。自動車保険って代理店を介すると相当な手数料を含んでいるのかもしれない。

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