弁護士費用特約とは?補償内容についてわかりやすく解説
弁護士費用特約は、自動車事故の際の弁護士費用を補償してくれる特約です。事故のケースによっては保険会社が介入できない場合があり、その上で個人で対応できなければ弁護士に依頼する必要があります。しかし、弁護士に依頼する費用も決して安くはありません。そういったときに特約を付帯していることで、費用の負担を大幅に減らすことができます。今回は、そんな弁護士費用特約の補償内容や範囲のほか、意外な使い道についても詳しく解説します。
「弁護士費用特約」とは?
弁護士費用特約は、自動車事故に際して弁護士を依頼する場合の費用を補償してくれる特約のことです。
追突事故などの自身に過失がない「もらい事故」であれば、交渉の余地がなく保険会社の介入はできません。そうした場合には、交渉に慣れている人でない限り、相手の保険会社から不当な扱いを受けたり、納得のいかない賠償金を提示されたりすることが起こってしまう場合があります。
そんな時に弁護士に介入してもらえれば、相手と建設的に話を進められるほか、より高額な賠償金を受け取れる可能性が高くなります。
ただし、一般的に弁護士に依頼する場合には、相談料・着手金・報酬金・日当・実費が発生します。
相談料は事前相談における費用のことで30分あたり5,000円以上、着手金は初期費用のことで最低でも100,000円以上、報酬金は結果に対する対価のことであり依頼者の利益の10〜30%に加えて数十万円から数百万円、日当や実費においては弁護士の活動内容に応じた金額が必要になります。
これらを合計すれば、弁護士の依頼には高額な費用がかかることが明白でしょう。
しかしながら、特約を適用させることで、その高額な費用も大きく削減することが可能となります。
ちなみに、付帯した場合の保険料は年間1,000〜2,000円ほどであり、特約を適用しても翌年の等級に影響はありません。
根岸 潤
「弁護士費用特約」の補償範囲
通常の自動車保険のように特定の損害にのみ対応するわけではないため、その対象範囲は広くなります。
以下では、弁護士費用特約の具体的な対象者と適用シーンについて見ていきましょう。
「弁護士費用特約」の対象者
保険会社によっても異なりますが、主な対象者の範囲は下記の通りです。
・記名被保険者とその配偶者
・記名被保険者または配偶者の同居の親族
・記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
・上記の該当者が被保険自動車以外の車両を運転している場合、その車両の所有者と同乗者
・被保険自動車の搭乗者
・被保険自動車の所有者
上記のように、多くの保険では記名被保険者とその家族だけでなく、他者の車両の所有者や同乗者も対象となります。
ただ、記名被保険者または配偶者の別居の両親や、別居の既婚の子は対象にはならない場合。
被保険自動車の搭乗者となれば別ですが、上記の該当者が被保険自動車以外の車両に搭乗して事故に遭った場合は、特約の適用はできないことになります。
とはいえ、それでも対象者の範囲は広いため、対象者間での特約の重複に注意が必要です。
「弁護士費用特約」の適用可能な補償範囲
弁護士費用特約は、被保険自動車の事故はもちろん、バスやタクシー、友人の車両に搭乗して起きた事故でも適用可能です。
弁護士費用にまつわる特約であるため、自動車が関係する事故で弁護士が必要になる場面であればほとんどの場合で利用できます。
例えば、歩行時や自転車運転時に車両に衝突された場合や、他者の車両に自宅の財物を壊された場合などでも補償が受けられます。
また、自身に過失がある場合でも適用できます。自身に過失があっても、必ずしも適切な過失割合・賠償額になるとは限らないので、こういった場面で行使するもの良いでしょう。
根岸 潤
「弁護士費用特約」は日常生活のトラブルに使える?
近年では、「自動車事故型・日常生活」といった自動車事故と日常生活のトラブルに対応したタイプを設ける保険会社も出てきています。
対応できる範囲は保険会社ごとに異なりますが、このタイプであれば日常生活のトラブルで依頼する弁護士費用の補償も受けることが可能です。
ただ、適用できるのは偶発的かつ自身が被害者となるトラブルのみで、例えば歩行時に自転車と衝突して怪我を負ったケース、自身が所有する財物が盗難されたケース、上階からの水漏れによって財物が破損・汚損したケースなどが該当します。
同じ法的な話し合いが必要になる事案であっても、離婚協議や遺産分割協議などの事件性のないものは対象外となります。
なお、補償される保険金の上限は、通常のタイプと変わりません。ただし、補償範囲が広くなる分、支払う保険料は若干高くなります。
そのほか、自身が加害者となる事案の刑事弁護士費用に関しては、保険会社によって補償内容が大きく変わるためよく確認するようにしましょう。
根岸 潤
「弁護士費用特約」の使えないケースとは?
弁護士費用特約が使用できない主なケースは下記の通りです。
・被保険者の故意または重大な過失によって起きた事故
・酒気帯び、無免許、薬物使用などの運転で起きた事故
・正当な所有者の許可を得ずに搭乗し起きた事故
・闘争、自殺、犯罪行為によって起きた事故
・地震、台風、津波などによって起きた事故
・被保険者が自身の家族または記名被保険者とその家族、被保険自動車の所有者に損害賠償請求する場合
・被保険者が所有、使用または管理する財物の欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗
・異常かつ危険な搭乗により負った損害
例えば、事故の相手が自身と同居する家族であり、その相手に対して損害賠償請求する場合は特約は適用できません。そのため、この場合には当事者間で協議を行うか、自己負担で弁護士に依頼をする形になります。
また、上記以外にも、ごく軽微な損害の事故や交渉の争いがない場合など、保険会社が適用を拒むこともあります。適用できるケースであっても、弁護士が介入する必要性があるかどうかをしっかり見極めた上で申請することが重要です。
「弁護士費用特約」の注意点
弁護士費用特約の補償金額には上限が設けられ、基本的には相談料が100,000円まで・依頼費用が3,000,000円までとなります。多くのケースでは十分と言える金額になりますが、仮に上限を超えた場合にはその部分の費用は依頼者の自己負担となるため、この点は留意しておかなければいけません。
また、特約を適用するにあたって、その旨をあらかじめ保険会社に伝えて申請した上で弁護士を探す形になります。あとになって弁護士を変更することも可能ですが、その時点で支払った相談料などは補償の対象外となりますので、注意しましょう。
まとめ
弁護士費用特約は、自動車事故における弁護士費用を広い範囲で補償してくれる特約です。補償のタイプによっては、自動車事故だけではなく日常生活の偶発的な事故でも効果を発揮してくれます。
もしもの際に弁護士がいなければ、過失のない事故でも不利な状況に陥る可能性があります。
とはいえ、やはり弁護士への依頼費用は安くはありません。損害の小さい事故であれば、弁護士費用のほうが高くついてしまうこともあるでしょう。
一方で、特約を付帯していれば、そうした場合でも気兼ねなく弁護士に依頼ができます。
この特約を含め、いざというときに安心できる保険の加入状況であるかどうか改めて確認してみてください。
※契約の詳細や支払い条件などは、保険会社によって異なる部分があります。詳細については、契約中・契約予定の保険商品の必ず「パンフレット」、「契約概要」、「注意喚起情報」、「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認下さい。
以前加入していた大手保険会社よりも3割くらい安かったのと、事故時の対応の早さに利点を感じました。後ろからぶつけられた事故があったのですが、私も走行していた為2:8の過失になると警察の方からも想定されましたが、結果1.5:8.5に割合が減りました。お相手の方への連絡も早かったようで、ストレスなく終えることが出来ました。
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