警察に停止を求められた「自転車」が逃走後に“パトカーと衝突”! 基準値の「4倍」を超えるアルコール検出 実は“厳罰化”していた自転車の飲酒運転
福岡県福岡市で、警察の停止指示を無視して逃走した自転車がパトカーに衝突する事故が発生しました。運転者の男性からは基準値の4倍を超えるアルコールが検出されており、ネット上では厳罰を求める声が噴出しています。2024年11月の法改正で厳罰化された自転車の飲酒運転。その危険性と、重い代償について元警察官の筆者が解説します。
ネット上では「常習犯だと思う」「バンバン免許取り消し・実刑にしないと」など厳罰を求める声も!
福岡県福岡市において、警察官に停止を求められた自転車が逃走し、先回りをしていたパトカーに衝突する事案が発生しました。
自転車の運転手は飲酒運転をしていたとみられ、自転車の運転モラルを問う声が上がっています。
2026年1月6日の未明、福岡市内の道路上において警察から追跡を受けていた自転車がパトカーと衝突する事故が発生しました。
警察によると、6日の午前3時40分頃、パトロール中の警察官が福岡市城南区別府の道路上でふらつきながら走る自転車を発見し、運転手に停止を求めました。
しかし自転車が逃走したため、警察がパトカーで先回りしたところ、自転車がパトカーの左テールランプに衝突したということです。
この事故により、自転車を運転していた福岡市早良区に住む39歳のアルバイトの男性が左手の小指を切る軽いケガをしたほか、パトカーのテールランプが破損。
また、自転車の男性から酒のにおいがしたため警察が検査をおこなったところ、男性の呼気から基準値の4倍を超えるアルコールが検出されました。
警察の調べに対し男性は「職場の人とレモンサワーの中ジョッキを5杯くらい飲んでいたので逃げた」と話しており、警察は男性を酒気帯び運転の疑いで捜査する方針です。

このニュースに対しインターネット上では「これは飲酒運転の常習犯だと思う。厳罰化すべき」「確信犯なんだからバンバン免許取り消し、実刑にしないと抑止力にならないでしょ」など、飲酒運転の罰則の強化を求める声が多く上がっています。
それに加え、「クルマ同様自転車の飲酒運転も厳罰化されて1年が経ちますが、厳罰化されたことを知らない人がいるように感じます」との意見も聞かれました。
実は自転車の飲酒運転については、法令の改正によって2024年11月1日から厳罰化されています。もともと飲酒運転自体は禁止されていたものの、法令改正前は酩酊状態で運転する「酒酔い運転」のみが処罰の対象でした。
法令改正によって処罰対象に「酒気帯び運転」が加わり、酒気帯び運転で検挙されれば3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また飲酒運転をすると知りながら自転車を提供した人にも同じ罰則が科されるほか、お酒を提供したり同乗したりした人には2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
飲酒運転の当事者だけでなく、周囲の人も「飲酒運転をさせない」という意識を持つ必要があるでしょう。
さらに自転車の運転手がクルマの運転免許を持っている場合、道路交通法の規定により、その免許の取り消し処分や6か月以内の免許停止処分を受ける可能性もあります。
これは免許保有者が自転車の飲酒運転で人身事故を起こすといった悪質・危険な行為をした場合、交通モラルや運転適性が低く将来的に自動車でも飲酒運転をおこなうおそれがあるとみなされるためです。
自転車の交通違反をクルマの違反より軽く考えている人も少なくありませんが、自転車でも人を死傷させる危険が十分にあることを認識し、きちんとルールを守って運転することが大切です。
そして今年4月1日からは、自転車の交通違反に対してもクルマやバイクと同様に「青切符」の制度が導入されます。
この制度は自転車の運転手(16歳以上)が一定の違反行為をして青切符で検挙された場合、一定期間内に反則金を納めれば刑事罰の対象とならずに交通違反が処理されるというものです。
青切符の対象となる違反としては信号無視(反則金6000円)、一時不停止(5000円)、右側通行(6000円)、携帯電話使用等(1万2000円)などが挙げられます。
ただし、これらの違反をしたからといってすぐに検挙されるわけではありません。たとえば重大な事故につながるおそれが高い違反をしたときや、警察官の指導警告に従わず違反行為を続けたときなど、悪質性・危険性が高い行為が検挙対象となります。
そのため交通ルールを守って安全運転を心がけていれば、青切符を過剰におそれる必要はないといえるでしょう。
なお飲酒運転や妨害運転(あおり運転)のほか、違反によって実際に事故を発生させたケースなど、より重大な違反行為は青切符ではなく、刑事罰の対象となる「赤切符」で処理されます。
※ ※ ※
自転車の青切符制度の開始は、約3か月後に迫っています。
交通事故を防止するためにも、各自転車ユーザーがあらためて基本的な交通ルールを確認しておくことが重要です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。


















