NEXCO中日本は2025年12月10日、公式SNSアカウントを通じ、多発する車両火災への注意を呼びかけるとともに、実際の火災映像を公開しました。

　動画には、高速道路のトンネル内で発生した一件の車両トラブルが、大規模な火災へと発展するまでの恐ろしい経過が記録されています。

　これに対し、SNSなどには多くの声が集まっていました。

　公開されたのは、新東名高速道路の下り線、清水PAから新清水JCTの区間に位置する「和田島トンネル」内の道路カメラが捉えた映像です。

　映像は、1台の大型カーキャリアがハザードランプを点滅させながら左車線を走行してくる場面から始まります。このキャリアカーは6台のクルマを積載しており、車体最後部からは激しい火花が上がっていました。

　車両は速度を落とし路肩へ向かいますが、車体が右側に傾き、路面に接触しているように見えます。この状況から、右後輪のタイヤが外れるなどの何らかの深刻なトラブルが発生していた可能性が考えられます。

　キャリアカーは、白煙と火花を上げながらも、なんとかトンネル内の左側に停車しました。このとき、後続の大型トラックもハザードランプを点滅されて一緒に停車しており、危険な状況に対する何らかの手助けがあったものと思われます。

　しかし、停車から約15分後、事態は急変します。カメラが車両後部にズームすると、右後輪付近から黒煙と炎が上がっているのが確認できました。

　この時点ではまだ小規模な火災でしたが、通行止めにはなっておらず、他の車両がすぐ横を通過していく危険な状況でした。

　この小火が発生してから、わずか25分後のことです。炎はキャリアカー全体と積載されていた6台のクルマすべてに燃え広がり、激しく黒煙を噴き上げる大火災となりました。映像では、時折小さな爆発が起きている様子も確認できます。

　さらに1分後には、発生した大量の煙がトンネル内を完全に覆い尽くし、映像では状況が全く分からなくなりました。

　NEXCO中日本は、この一連の映像とともに「高速道路での車両火災が多発しています！エンジントラブルやタイヤバーストに起因するものなどさまざまです。日頃の車両点検を欠かさず出発前の点検もお願いします」とコメントし、日常的な車両点検の重要性を強く訴えています。

　NEXCO中日本が公開した「火花から大爆発に至るまで」の生々しい映像は、多くのドライバーに衝撃を与えています。

　SNSなどでは、さまざまな反響が寄せられていました。

　多かったのは、「トンネル火災の怖さを再認識した」「映画のような爆発」「これに巻き込まれたら逃げ場がない」といった驚きの声のほか、「異変を感じたら即座に停車すべきだった」「タイヤの火災は一度燃え始めると、消火器一本では消せない」など、初期対応の重要性やタイヤ火災の怖さを説くコメントも見られました。

　また、「なぜみんなあんなに近くを走り抜けられるのか」「二次被害が起きなくて本当によかった」など、周囲の危機管理の甘さを危惧する声も目立ちます。

　いずれも単なる野次馬的なものではなく「トンネル内で煙を見たら、即座に非常口へ逃げる」「異音や異臭を感じたら無理をしない」といった、ドライバー自身の自衛意識を高める教訓として受け止めている人が非常に多い印象でした。

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　総務省消防庁が2025年11月に発表した資料によると、2025年の上半期（1月から6月）に日本国内で発生した火災の総件数は21525件でした。

　このうち車両火災は1750件で、全体の約8％を占めています。

　車両火災の原因は多岐にわたりますが、オイルや燃料の漏洩、オーバーヒートといった車両自体の不具合や、積載していたスプレー缶やライターからの発火などが挙げられます。

　今回の映像のように、タイヤがバーストした状態で走行を続けた結果、ホイールが路面で削られて火花が発生し、火災に至るとみられるケースもあります。

　タイヤのバーストは、空気圧の不足によってタイヤがたわんで発熱することや、劣化したヒビ割れを放置することなど、その多くが管理不足に起因するとされています。

　このほか、配線の劣化や、不適切な電装品の取り付けが原因となる場合もあります。

　悲惨な事故を防ぐためにも、日頃からの確実な点検整備とともに、特に高速道路で長距離を走行する前には、改めて車両点検を行うことが求められます。