日産の「超コンパクトGT-R!?」がスゴかった 全長4.1mに超パワフルな600馬力「V6ツインターボ」搭載! 約5000万円で市販化してしまったハイパーマシン「ジュークR」に注目
日産からリリースされていたクルマの中に驚きの車種がありました。コンパクトSUVに強力なパワーユニットを移植したマシン「ジュークR」です。
日産からリリースされていたクルマの中に驚きの車種がありました。コンパクトSUVに強力なパワーユニットを移植したマシン「ジュークR」です。
コンパクトSUVといえば、手頃な大きさと価格に使い勝手のよさと洗練されたスタイルに注目が集まる車種です。そんなコンパクトSUVに「モンスター級のパワーユニット」を移植したマシンが存在しました。
その名も日産「ジュークR」。2010年発売のコンパクトSUV「ジューク」をベース車両に、なんと同メーカーのスーパースポーツモデル「GT-R」のパワートレインを移植してしまった驚きのクルマです。
ジュークは、個性的なデザインと優れた走行性能が特徴的なコンパクトSUV。
超個性的ともいえるエクステリアデザインに賛否両論でしたが、日本の道路事情に合致するコンパクトサイズからも人気を博し、日本のコンパクトSUVブームの火付け役ともいえるモデルとなりました。
ボディサイズは全長4135-4165mm×全幅1765-1770mm×全高1565mm、ホイールベースは2530mmです。
日本では2019年末に販売が終了しており、国内ニーズにあわせた日産「キックス」が導入された一方、欧州では同年にジューク2代目が発表されており、今も個性的なキャラクターはそのままに販売されています。

そんなジュークですが、2011年10月4日、日産の欧州法人は初代ジュークをベース車両にしたジュークRを突然発表します。
さらには同月25日にスペインでもサプライズ公開を実施。突然すぎる発表と公開に大きな話題となりました。
ジュークRは欧州日産のテクノロジーセンター(NTC-E)が設計し、製造は英国のモータースポーツ大手RMLが行いました。
パワートレインは、同メーカーのピュアスポーツカー GT-Rと同じ3.8リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジン「VR38DETT」型を搭載。
同じくGT-Rに使用されている6速DCTと4WDシステム「アテーサE-TS」を搭載し、487PSを発揮するモンスターに変身しました。
ジュークRの「R」は、ネーミングだけでなく本気の装備を搭載した証でした。
また、GT-Rに比べホイールベースが短いために専用のプロペラシャフトも採用され、ボディにはロールケージも組み込まれました。
サスペンションも高剛性仕様にするなど、Rのコンセプトはパワートレイン以外にも及んでいます。
ボディは存在感のあるマットブラック塗装に塗装され、ベースのジュークとは異なる高級感も感じられます。
フロントバンパーには丸いロアダクトが5つ追加され、2分割リアスポイラーも装備されています。
インテリアには、GT-Rと同じステアリングやシートなどを装備し、センターコンソールにはパワートレインセッティングスイッチも搭載。
ステアリングやシートには「R」のエンブレムがしっかりと装着されています。
発表当時はワンオフのショーカー(厳密には左右ハンドル仕様があるため少なくとも2台存在)の予定でしたが、2012年5月に英国日産はジュークRを限定販売することを報告。
2012年モデルのGT-Rをベースに改良が加えられ、553馬力のジュークRとして販売されました。当時の販売価格は5000万円程度で、特別な限定車としての立ち位置でした。
また、2015年6月に英国で開催されたモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」では、さらに改良が加えられた「ジュークR 2.0」も発表されています。
ジュークR 2.0のベースは、GT-Rのハイエンドモデル「GT-R NISMO」。
最高出力もさらにパワーアップされ、600馬力を叩き出すクルマへと進化しました。
しかし残念ながら、ジュークR 2.0は市販には至らず幻のショーカーとなりました。
カスタムカーイベントなどでは、毎年さまざまなクルマが出展されますが、ジュークRはとくに記憶に残るモンスターマシンだったといえるでしょう。
ピュアスポーツの販売が低迷する現在、ジュークRのようなコンパクト&スポーティなかたちは、将来のスポーツカーの可能性のひとつなのかもしれません。
今はこうした冒険的なモデルを出すのも難しいかもしれませんが、日産の飽くなき挑戦にも期待したいところです。
Writer: TARA
トヨタ自動車のある愛知県在住。学生時代にクルマやバイクに魅了される。大手オイルメーカーに就職し、自らもモータースポーツに参戦開始。その後は鈴鹿サーキットで勤務しつつ、カートレースやバイクレースを経験。エンジンやサスペンション、タイヤや空力などの本格的な知識を得る。現在はプライベートでさまざまなクルマやバイクに触れながら、兼業ライターとして執筆活動に勤しむ。現在の愛車はトヨタ ヴォクシー/ホンダ N-BOX。



























































