なぜ“無免許運転”は起こるのか!? 「免許証の有効期限切れが無免許運転にあたる認識がなかった」という驚きの理由も! 検挙されたらどんな罰則を受ける?
公務員による無免許運転の発覚が相次いでいます。中には有効期限切れが無免許にあたると認識せず、業務や通勤、私用などでクルマの運転を続けていたという驚きの事例も。一体なぜ、無免許運転は起こってしまうのでしょうか。またどのような罰則があるのか、元警察官の著者が解説します。
うっかりでは済まされない! 免許証の有効期限切れで運転すれば“無免許運転”に
12月に入り、公務員による無免許運転の発覚が相次いでいます。一体なぜ、無免許運転は起こるのでしょうか。

愛媛県愛南町は2025年12月17日、運転免許の失効中に自家用車を運転したとして、町内の温泉施設に勤める50歳の会計年度任用職員の女性を、同日付で減給10分の1、1か月の懲戒処分にしたと発表しました。
この女性は今年10月6日、免許証の有効期限が10日ほど過ぎていることに気づいたものの、免許更新手続きをしようと考え、免許失効状態にもかかわらずクルマを運転して警察署に訪れたということです。
そして警察署の職員に無免許運転を指摘され、免許取り消しの行政処分を受けました。なお、免許失効中に公用車の運転はしていませんでした。同事案を受け、愛南町は全職員に対して免許証の管理徹底を指示しています。
このニュースに対してはインターネット上で「普通に考えて、有効期限の過ぎた免許で警察署にクルマで行ったら捕まるのは容易に考えられそうですが…。捕まえてくださいと言いに行っているようなもの」「普通なら自宅に更新ハガキ届くでしょ」などの声が寄せられています。
しかし同様の事案は他の自治体でも発生しており、島根県は12月10日、21歳の男性職員がクルマの運転免許更新を失念し、約4か月にわたって免許失効の状態で運転していたとして、減給処分を発表しました。
男性職員は7月3日、免許証の有効期限がおよそ4か月前に切れていることに気づきましたが、重大な事態と思わず、その後も業務や通勤、私用などでクルマの運転を続けていました。
それから6日後の7月9日、男性職員が「免許の更新に行く」と言って休みを申請した際、上司から無免許運転を指摘され、今回の事態が発覚したということです。
翌日、男性職員は警察に連絡して事情聴取を受け、11月末までに免許取り消し処分のほか、罰金40万円の略式命令を受けました。男性職員は「有効期限切れで運転をすることが無免許運転にあたるという認識がなかった。ご迷惑をおかけしました」などと話しています。
当然ながら免許証の有効期限が過ぎているのに車両を運転した場合、無免許運転に該当し、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。
さらに違反点数25点が加算されるため、これまでに免許停止・取り消し処分を受けたことがない人であっても一発で免許取り消し処分となり、その後2年間は運転免許を取得できなくなります。
それにもかかわらず、無免許運転の検挙は後を絶ちません。過去5年における無免許運転の検挙件数は、2020年が1万9225件、2021年が1万8844件、2022年が1万6761件、2023年が1万7599件、2024年が1万8031件と「ほぼ横ばい」の状態で推移しています。
無免許運転が起こる原因は様々ありますが、著者(元警察官はる)が警察で勤務していた際は、免許証の有効期限切れに気づかないまま運転してしまう事例が多くみられました。
基本的には免許更新時期にお知らせハガキが自宅に届きますが、引っ越し後に住所変更の手続きをしておらずハガキが届かなかったり、郵便物をチェックしていなかったりして免許更新に気づかない人もいます。
その一方で、無免許状態と知りながら車両の運転を続けるケースもあります。これは無免許運転を軽く考えており、「今までは事故を起こしていないから大丈夫」「どうせバレないだろう」といった気持ちから違法行為におよんでしまうものです。
このようなケースでは、ドライバーが事故や別の交通違反で捕まった際に無免許運転が発覚することも少なくありません。仮に無免許運転で事故を起こした場合、被害者の損害以外は自動車保険でカバーされない可能性が高いため、注意が必要です。
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警察庁の「運転免許統計 令和6年版」によると、2024年中は免許を失効してから再取得する「失効新規」が20万1187件にものぼり、免許を失効させてしまう人が意外に多い状況が明らかになっています。
免許をうっかり失効しないために、引っ越し後は確実に住所変更をする、郵便転送サービスを利用するなどの手続きをおこなうほか、定期的に免許証の有効期限を確認する習慣を持っておくことが大切です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。














