新車189万円で買えた! トヨタの「めちゃ“安いプリウス”」が凄かった! コンパクトサイズの廉価版で「超シンプル装備」! とことん割り切って実現した「最安モデル EX」の凄さとは
トヨタの「プリウス」には、一時期、非常に手頃な価格で購入できるモデルが存在していました。
あえて旧モデルを廉価で登場させた「戦略的モデル」
トヨタ「プリウス」は、現行5代目モデルでスポーティなスタイリングと上質な内装を備え、トヨタ車の中でも上級ハイブリッドモデルとして位置づけられています。
そんなプリウスですが、かつては新車価格が200万円を下回るモデルが設定されていました。新車価格が全体的に高騰している昨今、この格安なモデルとはどのようなクルマだったのでしょうか。

プリウスは1997年に、世界初の量産ハイブリッドカーとして華々しいデビューを飾り、その後の2代目ではハイブリッドの広い普及に貢献します。
2009年に発売された3代目からはボディサイズの拡大や最先端の安全装備の導入など、より上級路線へとシフトしていきました。
そして2022年発売の現行5代目では、すでに多くのトヨタ車にハイブリッド車が設定されていることから、さらに個性的なキャラクターを獲得。
洗練されたスポーティなデザインと走行性能を重視し、普及ハイブリッド車の「アクア」や「ヤリス(ハイブリッド)」などより上級のモデルとなっています。
今やハイブリッドカーの象徴ともいえる存在になったプリウスですが、過去を遡ると、2009年6月に非常に低価格の「プリウスEX」というモデルが突如登場したのです。
前月に発表された3代目プリウスは、先述の通りボディサイズが先代より10cmも長くなり、エンジンも1.5リッターから1.8リッターへと排気量がアップし、それに伴い自動車税もワンランク上になっていました。
さらに、3代目プリウス発売直前に、ホンダからハイブリッドカーの2代目「インサイト」が登場。プリウスよりもコンパクトなボディに維持費が安い1.3リッターエンジンを搭載し、価格も189万円からという、プリウスにとって大きな脅威となるライバルでした。
そこでトヨタは戦略的に、1.5リッターエンジンを搭載した2代目プリウスを、新型の3代目と同時に販売することを決定。これがプリウスEXでした。
コストを抑えるために、ホイールキャップやフォグランプなどの装備を省き、ボディカラーも白・黒・シルバーの3色のみに限定することで、ホンダのインサイトと同価格の189万円を実現したのです。
このプリウスEXは2012年春頃まで販売され、主にビジネスユーザーから支持を得て、インサイトへの顧客流出を防ぐ役割を果たしました。
ちなみに、このような新旧モデルの併売戦略は直近でも取られています。
やはりボディサイズ拡大や装備の充実化で高価格にシフトした現行型「カローラ/カローラツーリング」に対する「カローラアクシオ/カローラフィールダー」の併売です。
こちらも手頃な価格とコンパクトなボディサイズから、主にビジネス用途で支持され、2025年10月末まで、13年という長いモデルライフを送り、その役割を終えています。
トヨタがこうした廉価モデルを戦略的に投入したことは、市場での優位性を確保するための手堅い手法のひとつであり、豊富なラインナップや幅広い販売網を持つトヨタならではの強みといえそうです。
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(12月23日 18時更新)
記事の一部に誤りがあり、訂正しました。
Writer: 伊勢崎剛志
自動車販売から自動車雑誌編集部を経て、ライターとして独立。趣味も多彩だが、タイヤが付いているものはキホン何でも好きで、乗りもので出かけることも大好物。道路や旅にも精通し、執筆活動はそういった分野をメインに活動。













































