日本の大動脈「新名神高速」全線開通は“白紙”に… 東京の「外環道陥没事故」が影響しトンネル工事が進まず 高槻JCTの「用地取得」も困難極める 全通は少なくとも「2030年以降」か

NEXCO西日本は新名神高速のうち、八幡京田辺JCT~高槻JCT間で進めている工事の進捗を発表しました。2027年度の開通は困難だとする見通しを明らかにしています。

用地取得も未完了 「外環道陥没」も影響することに

 NEXCO西日本は2025年12月18日、建設を進めている新名神高速に関する第4回連絡調整会議を開催し、最新の工事進捗状況を発表しました。

 八幡京田辺JCT~高槻JCT間で、当初の2027年度の開通は「困難」だとしています。

建設中の新名神の様子(画像:NEXCO西日本)
建設中の新名神の様子(画像:NEXCO西日本)

 新名神高速は、中部・関東方面と、滋賀・京都・大阪・神戸の各都市を直通させる名神高速の「バイパス」として建設が進められている道路です。

 名神高速は、東名高速とともに本州の大動脈という役割を担っていますが、開通から半世紀以上を迎えたことで交通量がひっ迫し、各地で渋滞が発生しているほか、旧態依然とした構造で走りづらく、また劣化も顕著になっています。

 新名神高速が開通すると、道幅も広くて走りやすく、また名神高速のルートとは異なる経路を通ることから神戸までの距離も短くなることに加え、災害や事故で寸断されたときの相互バックアップにもなります。

 ルートは山側の岐阜県を通過する名神高速とは違い、東名や新東名と接続する海側の伊勢湾岸道 四日市JCTからそのまま直通。三重県と滋賀県の県境付近を経由して、神戸まで抜けるルートになっています。延長約160kmです。

 2008年2月に亀山JCT~草津田上ICが開通後、2017年には城陽JCT~八幡京田辺JCTと高槻JCT~川西ICが、2018年には川西IC~神戸JCTが開通。

 高槻JCT〜神戸JCTにかけては、渋滞の名所となっている中国道 吹田JCTを回避できるほか、四日市JCT〜草津JCTにかけても新ルートで走りやすくなりました。

 全通すれば、豊田JCT~神戸JCTの所要時間は名神・中国道経由で約160分(240km)かかっている現状が、約120分(200km)に短縮されることになります。

 物流においては、関西~中部を横断する約19万トン/日、関西~中国四国を横断する約13万トン/日の荷物がスムーズに動けるようになります。

 現在未開通となっている区間は、大津JCT(滋賀県)~城陽JCT(京都府)の約25.1km、八幡京田辺JCT(京都府)~高槻JCT(大阪府)の約10.7kmの2区間で、工事が進められています。

 今回発表された工事の進捗状況では、八幡京田辺JCT~高槻JCT間の最新情報が共有されています。

 同区間は土工区間が約2割、トンネルが約4割、橋りょうが約4割を占めるという、特殊な区間で、さらに住宅や工場、既存の道路や東海道新幹線やJR京都線をはじめとする鉄道路線をまたぐなど、工事の難易度が高くなっています。

 現在のところ、ほぼ全区間で土工工事やトンネル、橋りょうの工事に着手してはいるものの、高槻JCTの一部でまだ用地取得が完了しておらず、工事を開始するに至っていません。

 さらに、2020年に東京都の外環道建設工事において、トンネルを掘削時に地上で大規模な道路陥没があったことなどから、2021年12月に「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」が策定され、建設工事の計画が見直しされています。

 これに伴い、「枚方トンネル」において工事を行う工法に変更が出たことで、掘り進める作業が開始されていません。2026年度の冬ごろに稼働する予定であり、掘進するうえで一切の支障物がなく、順調に進んだとしても、2027年度までの開通は困難だとしています。

 NEXCOは「枚方トンネルの掘進状況について、丁寧にお知らせしていく」としたうえで、「引き続き、安全を最優先に工事の進捗を図りながら工程短縮に努め、1日も早い開通を目指す」としています。

※ ※ ※

 なお、もうひとつの未開通部である大津JCT~城陽JCT間については、工事が進捗しているものの、土工工事や橋りょう工事、舗装工事などの完了に少なくとも3年以上がかかると見込んでいます。

 進捗によっては更に1〜2年程度の期間を要するとしており、全線開通は2030年以降へとさらに先延ばしになった形です。

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Writer: くるまのニュース編集部

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