なぜ減らない?「あおり運転」取締り強化から半年、車間不保持は前年の1.5倍 繰り返される悲劇どう防ぐ
東名高速で起きた、いわゆる「あおり運転」を原因とする死傷事故から1年が経過しましたが、現在も同様の事故がしばしば起きています。社会的影響を重く見た警察庁は2018年1月に取締りの強化を通達。以後、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
殺人罪、暴行罪適用も
いわゆる「あおり運転」による事故がなくなりません。2018年7月には、大阪府堺市の一般道で、クルマがバイクを100km/h近いスピードで執拗に追いかけたうえで故意に追突、バイクに乗っていた大学生が転倒して死亡しています。
その3日後には埼玉県久喜市でも、自車の後ろから極端に車間を詰められたり、パッシングを受けたりしたドライバーがクルマを停め、後方車のドライバーに注意して自車に戻ろうとしたところ、後方車が故意に追突して負傷するという事故が発生しました。
このような「あおり運転」については2018年1月、警察庁が取締りの強化を全国の警察に通達しています。2017年6月に神奈川県内の東名高速で発生した「あおり運転」などによる悪質な行為を原因とする交通死亡事故(2人死亡)の社会的な反響をうけてのことです。
同通達では、悪質・危険な運転が関係する事案は、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪、暴行罪など「あらゆる法令を駆使して」操作を徹底させること、また、それを未然に防止するため積極的な交通指導取締りを推進することなどを指示しています。
なお、前出の堺市における「あおり運転」事故の加害者は2018年7月23日(月)、大阪地検堺支部により殺人罪で起訴されました。「あおり運転」で殺人罪が適用されることは異例であることから注目が集まっています。また、埼玉県久喜市における加害者も、殺人未遂の容疑で逮捕されているほか、同県では上尾市で1月に発生した「あおり運転」事件をめぐっても、4月にはその加害者が県内で初めて暴行罪で逮捕されるなど、「あおり運転」事案に刑法が適用されるケースが増えてきています。