スバルの「“和製”スーパーカー」!? 1000馬力超えの「ヤマハ製パワトレ」&高性能4WD搭載! “超軽量ボディ”でめちゃ楽しそうな「STI E-RA」とは

スバルとSTIが2022年に発表したコンセプトカー「STI E-RA」。800kW(約1088馬力)という規格外のスペックを誇るこのマシンは、カーボンニュートラル時代における「走りの愉しさ」を追求する実験室でした。はたしてどのようなクルマだったのでしょうか。

ヤマハ製パワトレ搭載!

 自動車メーカーは、モーターショーなどの晴れ舞台で未来の方向性を示すコンセプトカーを発表します。中には市販化を前提とした現実的なモデルもあれば、夢や理想を詰め込んだ実験的なモデルも存在します。

 2022年1月に開催された「東京オートサロン2022」において、スバルとそのモータースポーツ部門であるSTI(スバルテクニカインターナショナル)が世界初公開した「STI E-RA CONCEPT(STI E-RA コンセプト)」は、まさに後者を極めた一台でした。

スバルの「“和製”スーパーカー」!?
スバルの「“和製”スーパーカー」!?

 STI E-RAは、地球温暖化対策としてのカーボンニュートラルが求められる時代において、モータースポーツの世界で培ってきた技術をEV(電気自動車)に応用し「スバルらしい走りの愉しさ」を次世代に残すことを目的としたスタディモデルです。

 掲げられた「STI E-RA CHALLENGE PROJECT」というプロジェクト名の通り、この車両は近未来のモータースポーツスタディとして開発されました。

 モデル名の「E-RA」は「Electric-Record Attempt(電気自動車による記録への挑戦)」を意味しており、その名の通り、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、ガソリン車のトップクラスに匹敵するラップタイム「400秒(6分40秒)」を記録するという壮大な目標が設定されました。

 エクステリアは、一見してスバル車とは思えないほど低くワイドなスタイリングが特徴です。

 ル・マン24時間レースを走るプロトタイプマシンのようなフォルムに、戦闘機のように狭いキャビン、ルーフには空気を取り入れるためのシュノーケルが装備されています。

 いっぽうで、ヘッドライトにはスバル車共通のデザインアイデンティティである「コの字型」のシグネチャーランプが採用されており、未来的なフォルムの中にもスバルのDNAが刻まれています。

 ボディサイズは全長5010mm×全幅2000mm×全高1310mm、ホイールベースは2690mmで、車重は1690kgとされています。

 インテリアの詳細は公開されていませんが、競技車両としての性質上、余計な装飾を排したストイックなレーシングコクピットであることが推測されます。

 このマシンの核心は、ヤマハ発動機から供給を受けたハイパーEV向けモーターと、STI独自の制御技術の融合にあります。

 パワートレインには、4つの車輪それぞれに直接モーターを配置する「4モーター・4輪独立トルクベクタリングAWD」を採用。

 搭載されるモーターは、ヤマハ発動機が開発した「ギヤ、インバーター一体式」の高出力ユニットです。

 システム総合出力は800kW(約1088PS)、最大トルクは1100N・mという、文字通りのモンスターマシンです。バッテリーには容量60kWhのリチウムイオン電池を搭載しています。

 最大の特徴は、スバルが最も検証したかった技術である「4輪独立トルクベクタリング」です。

 従来の機械式AWDでは物理的な限界があった駆動力配分を、4つの独立したモーターで制御することで、走る・曲がる・止まるという挙動を異次元のレベルへと引き上げます。

 具体的には、車輪速、車速、舵角、G(重力加速度)、ヨーレート、ブレーキ圧、輪荷重といったセンサー情報をミリ秒単位で計算し、各タイヤへの駆動トルクとブレーキ圧を最適に配分。

 ドライバーがステアリングを切った瞬間に車体が旋回方向へ向くような、意のままのハンドリングを実現します。

 発表当時、スバルが1000馬力級のEVを作るというインパクトと、ヤマハ製モーターを採用したというサプライズは、世界中のメディアやファンから大きな注目を集めました。

 プロジェクトの目標として、2022年に国内サーキット等で走行実験を重ねたのち、「2023年以降」にニュルブルクリンクでのタイムアタックに挑戦することが掲げられていました。

 STI E-RA CONCEPT自体はあくまで実験車両であり、このままの形で市販化される予定はありません。しかし、この車両で開発された「4輪独立トルクベクタリング技術」などの知見は、将来のスバル・STIの市販EVにフィードバックされることが明言されています。

 今後登場するであろう電動化された「WRX STI」や、SUV「ソルテラ」の高性能版などにおいて、STI E-RAで培われた「意のままに操れる走り」が具現化される日が来るかもしれません。

※ ※ ※

 STI E-RAは、エンジンを失ってもSTIの魂は失われないことを証明するための、重要なマイルストーンでした。その挑戦の成果が、未来のスバル車にどのように息づいていくのか、今後の展開に期待が高まります。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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